• Lessing
  • 止颂
  • 레싱

レッシング

前衛タイプ — 勇士
敵を1体までブロック
  • LN07
  • 近距離
  • 火力
/ 90
【コードネーム】レッシング
【性別】男
【戦闘経験】六年
【出身地】リターニア
【誕生日】7月17日
【種族】キャプリニー
【身長】175cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、非感染者に認定。
【物理強度】優秀
【戦場機動】標準
【生理的耐性】優秀
【戦術立案】標準
【戦闘技術】標準
【アーツ適性】標準
レッシング・マイヤーはリターニアのルートヴィヒ大学の聴講生である。オペレーター・エーベンホルツと共にロドスへやってきた。意思疎通を十分に行った結果、レッシングはロドスと協力協定を結び、「レッシング」という名前をコードネームにし、ロドスのリターニア境内における行動の支援を行っている。
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。

【血液中源石密度】0.13u/L
源石との接触は極めて少ない。
ロドス本艦がリターニアに停泊している間、レッシングは訓練場の常連と化していた。
自主練でも手合わせでも、レッシングは見学者を拒まない。本人が言った通り、彼の戦い方に「大して特別なところはない」からだ。だが、彼が包帯を巻きつけた大剣を振りかざす度に、周りの者は同じ疑問を頭に思い浮かべてしまう――レッシングは本当にリターニア人なのか?リターニアでは音楽であっても、剣術であっても、芸術やアーツにおいても、どの分野でも優雅さと気品が求められるのではなかったのか?その認識で見ればレッシングのような効率を極限に求めた戦闘スタイルは、とても鑑賞価値があるとは言い難い。戦場にて一撃必中を実現させるには、高い集中力、機敏な洞察力と反射神経が必要なうえに、体に大きな負荷がかかる全力の攻撃を繰り出さねばならない。つまり、レッシングの戦闘スタイルは体にも精神にも、想像しがたいほどのプレッシャーがかかっているのだ。しかし彼自身はそれをなんとも思っていないようで、今後気を付けるようにと注意した時、彼はまるで「早食いは体に良くない」とでも言われたかのような表情をしていた。
ほとんどの人は、彼の戦い方よりもその剣に巻き付けてある包帯の方が気になっているのだろう……だって、しょっちゅう噂を聞くじゃないか。彼は性格は最悪だけどものすごいアーツを使う大悪魔に仕えたことがあって、恐ろしく得体のしれないアーツを身に着けているとか。そして、その包帯がアーツの触媒になっているとか。最近聞いた一番新しいバージョンでは、包帯を解けば黒い霧がたちまち立ち込み、剣はロドスよりも巨大なバケモノになるという話である。しかも、そのバケモノが通ったところは、全ての生物が骨の髄まで吸い尽くされ、跡形もなく消えてしまうらしい……
もちろん、一部の勇気あるオペレーターが進んでレッシングに「全力の手合わせ」を挑むにつれ、真相も明らかになった――レッシングは確かにアーツを少しは扱えるし、強いという言葉で形容してもいいだろう。だが使用頻度は少ないうえに、噂で流れているような大袈裟なものでもない。そして包帯についてだが、どうやら剣の刃を包むこと以外、本当に何一つ特別な作用はないようだ。
「彼のような人間が剣に包帯を巻く理由なんて、二つしかないさ。」
「一つは、剣が大きすぎて目立ちすぎるから、包帯を巻いて地味にしてるんだ。『頭がいいやつ』はそういう思考回路をしてんだよ。」
「もう一つは、ただ他人を傷つけないようにするためさ。」
「ねぇ、一つ聞くけど、ドラムの練習って一時間も続けられる?」
「それくらいはできますよ。」
「じゃあヒュパティア先生から文章問題を出されたら、一時間以内にすっごく集中して答えを書くのは?」
「まあおそらくは。」
「もしそれが、狭い部屋に丸一時間、ノイキャンイヤホンなしでドラムを叩き続けたあとだったらどう?部屋を出た瞬間に答えを出すなんてできる?」
「さっきから何なんですか?レッシングさんが急に空き部屋を申請したから、何をするつもりなのかこっそり見てきてもらっただけなのに、どうして戻って来るなりにそんなことを聞くんですか?」
「今話したのがまさにその見てきた内容だからよ!」
「……」
「意味不明でしょう?訳分かんないでしょう?あの人、毎日決まった時間に訓練場に現れては、全ての訓練メニューを規定量以上こなして、自分を限界まで追い込んで、その苦痛で自分を奮い立たせてたのね。半月もの間、毎日よ。それがやっと今日、後方支援部に空き部屋を申請してきたと思いきやこれよ……普段どんなに自分に厳しくしててもストレス発散は大切だし、彼も普通の人だったんだなあーって思った矢先なのに。ドアをほんの隙間分開けた途端、部屋から響いてきた音で鼓膜が破れるかと思ったわ――レッシングさんね、部屋の中で全力でドラムを叩いてたのよ。ドンドンドンダン、ドンダッドンドンドンドンドンって……あの騒音の中、ノイキャンイヤホンもつけずに。髪の毛がびっしょりになるくらい全身汗だらけなのに、相変わらずいつもと同じ無表情だし……」
「それで?ストレス発散そのもののように聞こえますが。」
「私、中に入る勇気がなくて、外でずっと待ってたのよ。それで出てきた時に、気分はどうなのか、悩みがあるのなら抱え込まないで、いつでも医療部に相談して、あなたは一人じゃないんだって伝えたの。そしたら、彼なんて答えたと思う?あれは彼なりの頭を整理したり、リラックスしたり、雑念を取り除く方法なんだって……要は鼓膜が破れるレベルの音の中で瞑想してたってわけ。」
「……わお。」
「……」
「まあ、少なくともこれで懸念点が二つ解消されたし、よしとしましょうか。」
「どういうこと?」
「まず、レッシングさんはメンタル面において特に問題がないこと、それから楽器を扱えるなら、彼も確かにリターニア人であることは間違いないということです。」
――後方支援部、ハイビスカスとあるオペレーターとの雑談より
【ウルティカ領・関連調査記録抜粋】
レッシングの出自は我々の予想よりずっと単純なものだった。彼はウルティカ領のとある従者の一族に生まれた。その一族の子供は、生まれたその日から、ウルティカ伯爵の従者になる定めにあった。その習わしは、巫王がウルティカ伯爵になるまで続いた。だが従者でなくなったマイヤーの一族は、自ら進んでウルティカ領を守護する役目を引き受け、領内の様々な雑務のために日々奔走している。
しかし巫王の失脚とともに、ウルティカの高塔と密な関係にあったマイヤー一族も大きな影響を受けることとなった。巫王派の残党であると正式に判決された者こそいないが、数年にわたる審査と監視により、マイヤー一族は没落寸前と化していた。数年後、ウルティカ領の高塔は新たな伯爵を迎え入れた。探りを入れるためか、あるいは単純に新しい伯爵の機嫌を取るためか、ある貴族がマイヤー家の農園に訪れ、一族で一番幼い子供を高塔に入れるよう求めてきた。
そうして一族の定めに再び囚われ、伯爵の従者となるべく、少年は高塔のもとへと赴いた。だが予想外なことに、本来領主と会うはずだったその日に、真逆の命令が彼の元に届いたのだ。

【ルートヴィヒ大学に残った記録】
いえ、あの子を気にする必要はありません。レッシング・マイヤーは脅威にはなり得ませんので。
先生のそばで育ったからといって、それがなんだというのです?私にはよく分かるんですよ。あの子は私と同じタイプの人間ですから。ただ舌先を長く伸ばし、檻の外の甘美な運命を舐めとろうとしている囚われし獣に過ぎません。だけど、彼はあまりにも目先に囚われすぎています!そのせいで、瞳にはホコリの積もった隅しか映っておらず、いつまで経っても頭上に広がる壮美な景色に気付けないままなのです。
なんと残念なことでしょう……本来我々の同行者になりうると思っていましたのに。かつて、あの子は平民を追い払う憲兵に反抗し、道端で虫の息になるまで殴られたことがありました。なんとそれでもまだ飛び上がれる力があったのです。爪でひっかき、口の中が血だらけになろうとも、憲兵のバッジを歯で齧り取ってしまうなんて……あの子は憲兵に「お前は自分が傷つけている者たちと何が違うんだ!」と怒鳴りつけました。その言葉には、先生でさえも思わず視線を向けていたのですよ……
あの子を先生の前に引きずっていき、生き延びるチャンスを与えたのは私です。だけど、結局先生の教えから何一つ学ぶことはできなかったようですね。あの頃と全く同じ、愚かでちっとも役には立たない。そのうえ、自分にさらなる枷まで課すとは。
……もしかしたら、あの時のことは単なる私の見間違いだったのかもしれません。先生は彼の方など、まったく見ていなかったのでしょう。

【談話記録】
「正直、先生のあそこまでの拘りがなければ、ヘーアクンフツホルンが亡くなった時に、リッチたちはリターニアを離れるはずでしたわ。地にそびえ立つ女帝の双塔は確かに圧巻の光景ですが、真の意味で人々を安心させることはできません。夕焼けから鉄のさびのような血の匂いが抜けたからといって、完璧になったわけではないのです。どれほど美しい雲や霞にも亀裂があります。新たな変化はとうに芽生えているのですよ……そのようなことを、我々はもう幾度となく見てきました。なので、ツヴィリングトゥルムに残っていたリッチたちは、前よりも念入りに自らの痕跡を隠し、各プロジェクトを締めくくれるよう研究進捗を早めました。いつでもこの場を去れるようにするためです。なのにある日、先生は急に一人のキャプリニーを連れてルートヴィヒ大学に戻ってきました。なんでも、憲兵隊の手から掠め取ってきたのだとか。その行動のせいで私たちが疑念を抱き、警戒心を強めるのも無理はありませんわ。だってそうでしょう?引っ越しの準備をしている真っ最中に、ペットを拾ってくる人なんています?……ええ、そうですわ、確かにあの時、先生にもそう言ってやりましたとも。」
「だけどいつからでしょう?気が付けば、リッチたちは日に日にその異質な存在に慣れていきました。ご存じの通り、あの子は鈍感だし、頑固だし、変わってる性格をしてますよね?だけど、その変わった部分が時々役立つのです。先生が怒り出すと、大学の学生たちはみんな怖がって、講義室の入り口の前で立ち尽くしてしまうんです。リッチたちですら叱られることを恐れて、それぞれの糸をこっそりとしまい込むのに、レッシングだけは無表情で人々を押しのけて中に入り、罵声を浴びてもなお表情一つ変えずに、散らかった本や法器を片付けるのですよ。先生の言葉を借りれば――耳が聞こえなくなったのかと疑わざるを得ないってね。以来、我々もあの子が講義室に入ったあと、中から聞こえてくる音のボリュームで、先生に何かを報告するのに適しているのかどうかを判断するようになりましたわ。それに、あの子は確かに無口ですが、頼りにはなるのですよ。リッチでは動きにくいことも、なかなか買いに行けない物も、すべて彼に頼んでいます。彼は毎月、すごく長いメモを持って都市部に出かけては、大量の荷物を剣に引っ掛けて帰ってくるのです……」
「ドクター、あの子に休暇を与えて、たまにはカズデルに顔を出すよう言ってもらえないかしら?違いますわ、別に先生の相手をしてほしいとかではありません。そうですね……あの子の姉や家族のみんなが彼を恋しがっている……そういうことにしておいてくれませんか?」
【書簡抜粋・その一】
……ハイデンシュヴェルト管区にある高塔は十箇所以上訪ねましたが、そもそも顔さえ出さなかった主もいれば、訪れた理由を聞いた途端に遠回しに僕を追い出そうとする所もありました。幸い、残りの人たちは僕たちとの繋がりを保つことを受け入れてくれました。少なくとも直接拒絶はされていません。時が来れば、我々に手を差し伸べてくれるはずです。現実に属さないかの扉を再び開くにしろ、それとも……
レッシングさん、あなたがフレモントさんとともにリターニアを離れなかったことは、特に意外だとは思っていません。あなたはグリムマハトに会ったことがありますし、フレモントさんに代わって情報を届けたこともありました。いつかの日、僕にこう言いましたね――たとえグリムマハトとリッチの間に繋がりがなかったとしても、彼女を支持することを選ぶだろうと。なぜならあの人が歩んだ道を、あなたも認めているから……もしかすればそう遠くない内に、この国の人々は女帝が一人しかいないこと、リターニアに「永遠なる恩寵」しか存在しない状況に慣れてしまうかもしれない。そうだとしても、グリムマハトが望んだ未来まで忘れ去られていいはずがありません……
来月に一度、故郷のループカーンに戻ろうと思います。
それと、僕のお節介など不要とは思いますが、くれぐれも用心してください。ウルティカ領は夕焼けにはあまりにも近すぎますから。
……

【書簡抜粋・その二】
……
領内の道路修繕工事の準備:済
ツヴィリングトゥルムより源石設備の購入:進行中
ジフおじさんの麦刈りの手伝い:ウルティカ領に戻り次第実行
……
伯爵とともに、地図再作成のためウルティカ領へ視察:済
領内貴族に高塔への謁見を伝令:済
ウルティカ伯爵の高塔の修繕:準備中
……
運命など恐るるに足りない。
自分の肩ほどの高さしかない雲杉は、斜めに傾き、根の一部には亀裂も入っている。もはや辛うじて立っている状態だ。
昨日は雨が降ったばかりで、土がかなり緩くなっていた。周りには車輪の跡が残っており、きっとどこかの農民がここを通り過ぎた際に、うっかり接触してしまったのだろう。
レッシングは斜めっている雲杉を、そっと真っすぐに戻してやった。ここには思いつきで立ち寄っただけなので、当然スコップなど持ち合わせていない。そこで仕方なく彼は剣で土を掘り集め、若木の根元にかけてやると、足で踏んで固めた。
すべての作業を終えると、キャプリニーの青年は地面が汚れていることも気にせずにその場に座り込み、ぼうっと前方を見つめた。目の前にあるのは一面の林だけ。リターニア郊外の至る場所で見られるこの雲杉は、無秩序に自由にこの場所に根を下ろしていた。それほど特別な風景でもないため、伯爵の塔に戻り荷物を降ろし終えた時、エーベンホルツからどこへ行くのかと尋ねられたレッシングはただ、適当にぶらついてくるとしか言わなかった。だけど、実際彼はこの場所を大層気に入っており、ツヴィリングトゥルムに行く前は、ほとんど毎日ここにやってきて、鍛錬を終えるとただぼんやりと景色を眺め、時間を過ごした。当時は何年も連続で気候に恵まれず、頻繁に大雨や雷雨が降るせいで、泥に倒れている木を見かけることがよくあった。また、楽器用の木材を探す職人や、薪を求める農夫によって、木々が狙われることも珍しくなかった。それでもこの林は年を追うごとに広がり続け、今やレッシングの記憶より倍以上大きくなっている。もはや一目では果てまで見渡すことは不可能で、連なる枝は山脈のように日光を覆い隠していた。リターニア郊外の至る場所で見られる雲杉。あまりにも普通すぎて、景観木として高塔周辺に植えられたことは一度もない。だけど真っすぐ天まで伸び続ける雲杉は、高塔の背を超えるものすらあるのだ。たとえリターニアの高塔がすべて倒れたとしても、きっとこれらの雲杉は変わらずここにあり続けるのだろう。
HP
3882
攻撃力
1129
防御力
277
術耐性
0
配置コスト
21
攻撃間隔
1.5 秒
ブロック数
1
再配置時間
80 秒

素質

  • 苦しみを意志に
    ブロック時、自身がブロックしている敵以外からの物理・術の被ダメージ-35%
  • 痛みを砥石に
    ダメージを受けたあと、15秒間攻撃力+12%(重複不可)

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • 強撃γ
    攻撃回復自動発動
    必要SP
    2
    次の通常攻撃時、攻撃力が290%まで上昇
    atk_scale
    2.9
  • 苦行の縛り
    パッシブ
    継続時間
    24 秒
    配置後、第一素質の効果が2.2倍まで上昇、攻撃力+60%、通常攻撃が2連撃になる
    atk
    0.6
    talent_scale
    2.2
  • 誓いの破棄
    自動回復手動発動
    初期SP
    30
    必要SP
    40
    継続時間
    20 秒
    スキル発動中状態異常を無効化し、最大HP+110%、ブロックされている敵を攻撃時、対象に攻撃力の220%の物理ダメージを与える
    状態異常中でもスキルを発動でき、その際状態異常を解除することができるが、600の術ダメージを受ける
    max_hp
    1.1
    lessng_s3[atk_scale].atk_scale
    2.2
    magical_value
    600

モジュール

  • ORIGINAL
    レッシングの記章
    レッシングは大剣で戦場に切り込む戦術に秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては前衛オペレーターとして区分し、勇士の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • DRE-X
    重き剣の束縛
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +230
    • 攻撃力 +17
    • 防御力 +17
    勇士の特性
    敵を1体までブロック
    ブロックされている敵を攻撃時、攻撃力が115%まで上昇
    2
    • HP +330
    • 攻撃力 +24
    • 防御力 +24
    痛みを砥石に
    ダメージを受けたあと、15秒間攻撃力+17%(重複不可)
    3
    • HP +400
    • 攻撃力 +30
    • 防御力 +30
    痛みを砥石に
    ダメージを受けたあと、15秒間攻撃力+20%(重複不可)
    青年はほどいたベルトを再び巻き付けた。
    幾重にも巻かれたベルトの下には、重々しい剣が隠されている――厳密には隠れきってはいないが。
    あまりに大きなその剣は、厳重にベルトを巻かれていてもその輪郭を露わにしていた。剣のつばは大抵の人間の肩幅よりも広く、刀身はほとんどの者の肩を超えるほどの丈があった。ベルトに縛られた剣は刃こそ剥き出しになっておらず、殺戮を繰り広げることはかなわないが、見た者を震え上がらせる武器としては十分だった――あるいは、それこそが目的なのかもしれない。剣の主たる青年はこの剣に、誰かの命を奪うことではなく、ただそれを握ることで警告となるものであることを望んでいた。血と死を隔てるものは、このベルトのほかになく――ゆえに、この薄いベルトを超えることなかれ、と。
    事実、青年はたしかにそう考えていた。彼はあえて剣をベルトで縛り、刃を覆い隠し、人の視線を遮っている。刃は耐え忍ばねばならぬものだ。耐え忍ぶことで損耗を避け、血と死を遠ざけることもできる。ほとんどの場合は、いかに耐え忍ぶことになろうと、目に見えぬ場所に匿われていようと、刃にはその本来の役割を果たすことができるものだ。彼の剣の扱いは、まさしく自分自身に対する扱いと同じだった。
    彼に言わせれば、己は剣であり、刃でもあるが、目立たぬようその刀身を隠していなければならないという。そして彼は、かねてよりそうしてきた。怒り、苦しみ、喜び、興奮、そして激励を幾重にも重ねたベルトで縛り上げ、身体も精神も引き締めてきたのだ。
    だが今となっては、すべてが変わりつつあった。
    敵が四方八方から押し寄せてくる――そんなイメージが膨れ上がっていた。青年はかつて、奴らがオンワードの森の中、シュトルム領の雨雲の下、そしてヴァッサー領の湖と川に潜み、エーデンヘルの泥と石の上に居座る様子を、奴らが高塔の間を行き来し、宮殿や学院、屋敷に出入りしている姿をたびたび思い浮かべていた。その光景は青年にとって決して想定外ではなかったが、ただ今日実際このような事態に陥るとは思っていなかった。自身が切り拓くべき物事が真に眼前に迫った今、かえってその姿がはっきりとは見えなくなってしまったのだ。
    奴らはどこにいるのだろうか?敵はまだ近づいてきていないが、元より至るところに潜んでいることを彼は知っていた。幾重にもベルトを巻き付けて自身を覆い隠しているのに、なぜ今はこうも丸裸になっているように感じてしまうのだろうか。こうした事態を予測していなかったわけではなく、今日のために準備をしてこなかったわけでもないというのに。青年はいつかこんな日が訪れることを知っており、フリーモントもとうに警告を発していた。これは、お前が自分で選んだ戦いなのだと。
    そう、俺が自分で選んだ戦いなんだ。青年はそれを再確認し、剣を再びしっかりと縛り上げた。

基地スキル

  • 苦行の律
    加工所で昇進素材を加工時、対象素材の体力消費が4になる
    敬虔の律
    加工所で昇進素材を加工時、対象素材の体力消費が3になる
  • 師の教え
    加工所で昇進素材を加工時、副産物の入手確率+80%