• Kal'tsit
  • 凯尔希
  • 켈시

ケルシー

医療タイプ — 医師
味方のHPを回復
  • B003
  • 遠距離
  • 召喚
  • 治療
/ 90
【コードネーム】ケルシー
【性別】女
【戦闘経験】三年
【出身地】ロドス・アイランド
【誕生日】非公開
【種族】フェリーン
【身長】169cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、感染者に認定。
【物理強度】普通
【戦場機動】普通
【生理的耐性】普通
【戦術立案】■■
【戦闘技術】普通
【アーツ適性】標準
ケルシー、ロドスの上層部管理者の一人であり、ロドス医療事業のリーダーである。冶金学、社会学、アーツ学、考古学、歴史系譜学、経済学、植物学、地質学などの領域において広く深い見識を持つ。ロドスの一部作戦では医療要員として医学理論補助及び応急医療機材の提供を行うと同時に、ロドスの戦略指揮において重要な一人として各事業で活躍している。
「私の診断結果は私が自ら判断しよう。諸君は他の助けを必要としている感染者に力を注いでくれ。」
ケルシーはそう言ってくれたが、最初の一言からして私をごまかそうとしている無駄話だって気づいたよ。
覚えておきなさい。誰かの助けが欠かせないというタイプの人間もいるってことを。ケルシーがまさにそう、自分のことはどうでもいい人だ。それがなぜ今まで生きているのかというと、単にやらなければならないことをやり遂げるまで死んではいけないと自分で判断しているからだ。自分を粗末に扱いすぎている。
もちろん、もちろんさ、彼女は強い。ケルシーならば自分の専門分野にも発言権を持っていると誰もが認めている。私らのような何年か仕事の経験がある人間だってそれはわかっている。でもね、一部の人間が必要としているのは専門家のアドバイスではなくて……ただただリラックスすることだよ。
他者の助けを必要としないという人は確かにいる。だけどだからといってそんな人たちが孤独であるべきだなんていうことはない。助けるって言っても、彼らに寄り添って、君はひとりじゃないよと教えてあげることだ。
もしこのメッセージを目にすることができるのなら、それはあなたがケルシーをそれなりに気にかけているという証明だろう。
だから、しゃんとして、頑張りなさい。クロージャばっかりに好き勝手させないことだ。
それと、そう、ケルシーは誰にも彼女の身体検査をさせないのは本当だ。
――分析報告が載っているはずのページに現れた謎のメッセージ。署名は人事部■■■
クルビア、若い名前だ。
ヴィクトリアは軍の撤退を決意した。大して注目する必要もなかろう。
既に大勢は決した。
辺境領の公爵はきっと自身が熱中するこの事業の価値を高く見積りすぎたのだろう。ヴィクトリアが大貴族の個人的利益を考慮したことなど今まで一度でもあったか?こういう所が彼の愚かさなのだろう。他の公爵ならば表立ってこのような営みを行うことなどない。
この件は彼への非難を招き、彼は双方に敵を作ってしまった。彼にチャンスなどなかった。
天の定め、まさにそれだった。ガリアは今回ヴィクトリアに相当な圧力をかけた。辺境領公爵のこの戦争における失敗はまさにヴィクトリアの不可解な決定によるものだった。ヴィクトリアは彼に支援を行わなかったのだ。船の一隻すら派遣しなかった。
これは一種の傍観と言えよう。彼を殺すための傍観だ。ヴィクトリアの頭脳は一つだけではなかったのだ。
いずれにしても、ヴィクトリアは北西の荒野に留まっている都市たちを顧みる暇などなく、この戦争がクルビアを生み出すきっかけとなったわけだ。
機会?テレジア……ああ、そうかもしれない。新しい国の誕生はいつだってひとつの機会と言えるだろう。
しかし機会は時に災いの元と同義でもある。クルビアこそがカズデルを襲う次の災難をもたらすものであるかもしれない。
冗談はよしてくれ。今の私はそんなことなどしない、約束したはずだ……待ってくれ、もしかして私で遊んでいるのか?今の私はそのような人物ではないとわかっているはずだ。それに、もう昔とは違う。今では国一つ消すことなど、不可能に近い。
時は過ぎ去り、国は簡単には掌握できなくなった――誰もが源石エンジンがもたらす温度から自身の考えを汲み取っている。彼らは自分の顔を持つようになり、もう誰かの言いなりばかりではいかなくなっているのだ。
良いことかもしれない?そうだな、長く続ければそうかもしれない。
ガリアの覇業の実現はもう誰にも止められないのかもしれない。ヴィクトリアは既にいくつもの都市を立て続け失っている。
あの帝国たちが決断の狭間で過去を水に流して協力を選べたら話は別なのだが。有り得ないな。狂人、日和見主義者に奴隷主同士で?ふん。彼らにそんな協力ができていたら……
……いや、その通りだ。本当にそんな機会を掴み取る可能性だってある。未来を予知できるなどと宣う者がいるわけないからな。
どうしてこんなことに。
どうしてこんなことになったんだ?
今回の途中離席で、おそらく私は大学を追い出されてしまうのだろう。だが今はそんなことに構ってはいられない。
【こちらはケルシーというリターニア学者より発信された緊急メッセージである。もしこのメッセージが届いたのならば、直ちに以下の手段を通じてトランスポーターに渡し、このメッセージを拡散させてください。
貴殿がメッセージの内容を知ることは阻止しない。
大きな災害がただいま発生した。
現時点その方角で判断すると、発生地点はイベリアにほかならない。全ての通信が途切れ、電流さえ私の持つ個人チャンネルから消えた。
雲が著しく変わった。海流?ただの海流や嵐がこのような結末を招くことなど有り得ない。
イベリアなのだ。
イベリア人にこのような災難を引き起こす力量はない。そしてエーギルは……エーギルの沈黙はただの傲慢に過ぎない。彼らの仕業でもないはずだ。
私の推測はこうだ。我々が前に目撃した生き物はエーギルの実験などではなかった。あれこそが海の現状だったのかもしれない。
島の住民たちが残した資料とあれとは完全に一致した。我々の悲しい推測が現実となったのだ。
イベリアは静寂に陥った。まるで南方地方がまるまる消えてしまったようだ。
具体的な状況を知るには、トランスポーターたちが今後もたらす情報を待つしかない。今私にできるのは、この結果を優先的に諸君に知らせることだけだ。
海辺のある国が不慮の災難に見舞われてしまった。

もしイベリアが海岸上の初の犠牲となったとすれば、エーギルの現状は……おそらくもっと残酷なものとなっているのだろう。諸君の無事を祈る。】
魔王が死んだ。
バベルは崩れ落ちた。
我々はこの廃墟の上に、新たなバベルを建て直すべきなのか?
いいや……彼女はそれを望まないだろう。
私が……我々のすべきことを決めていいのか?
いや、アスカロン、私にその権利はない。
私は君たちのリーダーではないし、その資格もない。
それに、バベルの事業はもう続けることができない。テレジアでさえ失敗するというのなら、成功する者などいるのだろうか?
カズデルがこのことをきっかけに滅びることはない。我々の使命こそがバベルの崩壊によって滅んだのだ。我々はサルカズを団結させる力を失った。
だから、我々は……もう単純にサルカズのためだけに存在するわけにはいかないのだ。
いや、テレジアは知っていた。彼女はいつも何でも知っていた。その彼女が私にこう指示したのだ。
それに、テレジアは我々が失敗したとは思っていない。ただバベルの使命が終わったと思っていただけだ。
……
わかった。
これから我々はカズデルを離れる。この決定を受け入れられないという者もいるだろう。行かせてやれ。
全ての者がテレジアのように、本当の意味でカズデルを離れることができるわけではない。「ある一つ思想にはそのための土壌が必要である。」しかし、一粒のタネが芽吹くのは故郷でなければならないということなどない。
そう……鉱石病……鉱石病問題の治療と対処だ。
サルカズは鉱石病に深く苦しまされてきた。それがサルカズの現状の大きな原因の一つである。
そう。
サルカズだけではない。
テレジアが最初に言ったように、サルカズの問題は、昔からサルカズだけの問題ではなかったのだ。
この議題は、当時の我々が挙げた複数の「現実的ではない」手段の一つだった。今となっては、手段を目標とすることも可能だろう。
鉱石病、そして鉱石病がもたらす恐るべき偏見は、治療されなければならない。
それこそが我々の新たな議題だ。今ここにいる皆が鉱石病に蝕まれているからだけではなく、ある一つの思想には、偏見を打ち破るための思想には……そのための土壌が必要だからだ。
死病?
……いいや、私は信じない。死病は……いつか必ず治療が可能となるはずだ。死病はただ、治療が可能となる日を待ち望んでいるだけだ。私が必ず証明しよう……こればかりは、彼女が間違っていたと。
次に、この議題に対する初回の投票を行う。
――アーミヤ?
私が彼女を育てよう。
もう、そんな深刻そうにして、また例のプロジェクトの件かと思ったじゃない……ちょっと新しい顔認識セキュリティシステムを作ったせいで塗装を変えたCastle-3を侵入者と誤認しちゃっただけでしょ。
……うーん、もしかして最下層のボイラー改造で出力が高すぎて下水道が逆流しちゃった件?まさか……そんなことまで彼女にバレちゃったの?
ダメダメ、今度こそ本気だったら、あたしの使える経費予算がパーになっちゃう。なんとか……なんとかしないと。
あれ、ここは?エンジン室?あたしをここに呼んで何の用なんだろう?
まさか……いやいや……あたしまだロドスにとって用済みじゃないよね?
ケ、ケルシー?驚かさないでよね、ケルシー、あたし……あたし肉付きは良くないよ――
ケルシー?
いないんだ……このディスプレイ、古すぎでしょ。新しいのに替えてあげなきゃ。
まって、なにこれ――863-879?622-690?
なになに?
待ってよ……
……個人記録?
ケルシー!?ケルシー!
ちょ、もうあたしが全権限持ってるってどういう意味?あたしまだシステムにハッキングしてないのに?
PRTS?いる?ちょっと質問に答えてちょうだい!
待ってよ、このデータベースのシステムは、独立してる……この船にPRTSから独立してるシステムなんてあるの?
待って。
このロドスの構造図、おかしいよ?上のこの中空構造どこから来たの?
『第三代曝露後予防薬理論設計』……はあ?うちにこんなレベルの遠心分離機があるわけないでしょ?
――『種と生命形態に対する源石の全体的影響』?
ケルシー??
ケルシーへ
あなたがこの手紙を読んでいるということは、きっと全て片付いた頃ね。
少しだけ考えて、この手紙をあなたのデスクに隠すことにしたわ。あなたが静かに座って過去に思いを巡らせているのでなければ、きっとこの手紙を見つけることはできないわ。
そんな懐古に浸るあなたへの手紙よ。
……私に説いてくれたたくさんの学説を憶えているかしら?私はずっと憶えているわ。
この大地には限りがあって、それは一つの球体の表面をわずかに覆う土でしかないと。
私たちの身体は最初からこうだったわけではなくて、歩けるようになるまでは地を這っていたこともあると。
あの星々は私たちの足元に広がる大地と同じように、空の軌道を進む筏であると……
ケルシー、そんなあなたの言葉を、私はどれも憶えている。

あなたは、私たちの行いに意味を見出すよりも、自身に関する答えが知りたいと言っていたわね。私がこの船にどんな想いを込めているのか、どうしてこの船をそんなに大切にしているのか、そんなことを何度も聞いてきたでしょう?
とても幼稚な答えだったから、結局最後まではっきりと伝えられなかったわ。
……ケルシー、あなたの孤独は私も感じていたわ。自分には同類がいないと考えていたからでしょう。

ケルシー、私の答えはね、「このロドス・アイランドという船が、あなたの家になってほしいと願っていたから」なの。
あなたと一緒に、そんな未来をこの目で見届けたいなんて考えたことだってあるわ。
ただ、孤独に効く薬はないし、流浪の旅に終わりもない。そして死の病は治せない……
私は自分の精一杯をやったつもりよ。この結末に不満なんてないわ。
バベルの使命はここまでだけど、あなたたちとこの船の旅は、まだ始まったばかりよ。
今、あなたが初めに抱いた疑問を解き明かす時なんじゃないかしら。長い長い夜の後には、ロドス・アイランドにもきっと夜明けが訪れるわ。
暖かな大地を航行する未来は、あなたたちみんなのものなんだから。

ケルシー、私はあなたの同類じゃないわ。あなたの疑問を解いてあげることもできない。
――だけど私はあなたの味方よ、ケルシー。これまでも、これからもずっと。

【署名はない。】

殿下はかつて、船体主要部の後続の発掘工事を担当していたのがまさにケルシー先生だと言っていた。
今では時々、ケルシー先生がひとりで廊下を早足で進む時にふと立ち止まり、指で壁をなぞるのを見かけることがある。
ケルシー先生にとってのこの船は、いったいどんな意味を持つのだろうか。
HP
2033
攻撃力
490
防御力
255
術耐性
0
配置コスト
20
攻撃間隔
2.85 秒
ブロック数
1
再配置時間
70 秒

素質

  • Mon3tr
    「Mon3tr」を配置/治療可能(退場後の再配置時間は25秒)、自身と「Mon3tr」を優先して治療する。「Mon3tr」がケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
  • ブレークリビルド
    「Mon3tr」が倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • 指令:構造強化
    自動回復手動発動
    初期SP
    10
    必要SP
    20
    継続時間
    40 秒
    自身と「Mon3tr」の防御力+150%、自身が50%の確率で物理被ダメージを無効化する
    def
    1.5
    attack@def
    1.5
    prob
    0.5

    Mon3tr

    敵を3体までブロック
    HP
    5433
    攻撃力
    1402
    防御力
    405
    術耐性
    0
    配置コスト
    10
    攻撃間隔
    2 秒
    ブロック数
    3
    再配置時間
    25 秒
    • Mon3tr
      ケルシーから治療を受けることができる。ケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    • ブレークリビルド
      倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる
  • 指令:戦術連携
    自動回復手動発動
    必要SP
    8
    継続時間
    20 秒
    攻撃速度+100、「Mon3tr」の攻撃力+90%、「Mon3tr」がブロック中の敵全員を同時に攻撃
    このスキルは「Mon3tr」と連動する
    attack_speed
    100
    attack@atk
    0.9

    Mon3tr

    敵を3体までブロック
    HP
    5433
    攻撃力
    1402
    防御力
    405
    術耐性
    0
    配置コスト
    10
    攻撃間隔
    2 秒
    ブロック数
    3
    再配置時間
    25 秒
    • Mon3tr
      ケルシーから治療を受けることができる。ケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    • ブレークリビルド
      倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる
  • 指令:メルトダウン
    自動回復手動発動
    必要SP
    15
    継続時間
    20 秒
    「Mon3tr」の防御力+200%、攻撃力+260%、通常攻撃が確定ダメージを与える。攻撃力の上昇効果が徐々に減少し、スキル終了時に上昇効果が+0%になる。スキル効果期間内で敵を1体も倒さなかった場合、スキル終了時「Mon3tr」のHPが最大値の50%減少
    このスキルは「Mon3tr」と連動する
    attack@atk
    2.6
    attack@def
    2
    attack@hp_ratio
    0.5

    Mon3tr

    敵を3体までブロック
    HP
    5433
    攻撃力
    1402
    防御力
    405
    術耐性
    0
    配置コスト
    10
    攻撃間隔
    2 秒
    ブロック数
    3
    再配置時間
    25 秒
    • Mon3tr
      ケルシーから治療を受けることができる。ケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    • ブレークリビルド
      倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる

モジュール

  • ORIGINAL
    ケルシーの記章
    ケルシーは戦場でオペレーターを治療することに秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては医療オペレーターとして区分し、医師の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • PHY-X
    Mon2tr
    STAGEステータス強化説明
    1
    • 攻撃力 +35
    • 防御力 +15
    医師の特性
    味方のHPを回復
    HPが50%未満の味方を治療時、HP治療効果+15%
    2
    • 攻撃力 +50
    • 防御力 +20
    ブレークリビルド
    「Mon3tr」が配置中初めてHPが最大値の50%未満になる時と倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる
    ブレークリビルド
    初めてHPが最大値の50%未満になる時と倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1200の確定ダメージを与え、3秒間スタンさせる
    3
    • 攻撃力 +60
    • 防御力 +25
    ブレークリビルド
    「Mon3tr」が配置中初めてHPが最大値の50%未満になる時と倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1500の確定ダメージを与え、3.5秒間スタンさせる
    ブレークリビルド
    初めてHPが最大値の50%未満になる時と倒された時(撤退時発動せず)、周囲8マス内にいる敵全員に1500の確定ダメージを与え、3.5秒間スタンさせる
    流砂は頭上で渦を巻き、光は目に入るあらゆる物事に疑念を生じさせる。
    声が彼女を呼んでいる。魂が彼女の肌をめくり上げ、そうして初めて、彼女は自分が疲れ切っていたことに気付いた。
    彼女は果てしなき大地を目にした。それは生命を育んでいる。
    何かが彼女の手を固く握りしめているのを感じる。彼女は振り返り、曖昧な記憶の中から自分の名前を探した。
    ケルシー。
    彼女は自分が使命を抱いてこの文明の廃墟に生まれたことは知っていたが、自らの行く末は知らず、またそれを知る者も存在しなかった。
    食事や睡眠からは逃れることができないように、その使命から逃れて生きることなど、彼女には到底不可能だった。
    彼女は遺塵の上に踏み出して、何万年も積み重ねてきた記憶と知識を慎重に整理していく。
    廃墟から興る新たな国家を見て、その廃墟と化した王権はかつて自身が捨て去った成果の一つであることを思い出した。
    凄惨な戦場に掲げられた真新しい旗を見て、争い合う両者はかつて共通の敵に立ち向かうべく手を取り合っていたことを思い出した。
    森を眺めれば砂漠を、高山を望めば湖沼を思い出し――時間という名の大河を歩む。
    足を止め石を拾い上げれば、激しい時の流れは彼女の身体で分かたれて、その先へと流れていく。
    しかし彼女は変わらない。彼女に過去はなく、未来もない。
    しばしの時間をかけてようやく思考の整理を終える。
    彼女は前回迎えた死を思い出した。
    流れていった歳月は、生命の形に変化を生じさせるには十分であった。
    しかし、死がこれほど早く訪れるとは予想しておらず、ゆえに今まさに変化しつつある物事も存在しているようだった。
    生命はその野性に従って繫栄し、大地は目まぐるしく変化する。
    人造の機械が轟音とともに駆動して、源石エネルギーの輝きが物陰までもを照らし出す。
    人々は暗がりでもがきながら光を目指し、光に照らされれば暗闇を軽んじる――幾度となく繰り返してきたことだ。
    彼女の表情は移動都市が巻き上げる砂埃に隠されていたが、その実、彼女は不安を感じていた。
    星々を偽りの空の裏側へと隠すかの意志は、地表の興亡を今もなお注視し続けているのだろうか?
    テラの人類がその手で築き上げてきた文明を冷たい虚空へと送り出し、数えきれないほど失われてきた生命たちへと仲間入りを果たすまで、あとどれだけの時間があるのだろうか?
    残された時間は多くはない。ケルシーはそう自らを戒めて、これまであまりにも膨大な時間を浪費してきたことに自責の念を覚えた。
    彼女はほとんどの時間を、テラが自ら辿ろうとする破滅の運命を避けさせるため、彼らが安全なほうへ舵を切るよう導くために使ってきた。
    それだけで彼女はすでに、身も心も憔悴しきっていた。
    彼女は全知全能の生命などでは決してない。
    だがそれでも、世界のすべてへ手を差し伸べることを自らに課し続けていた。
    彼女の抱える使命が公正であったことなどなかった。
    急がねば。手段を選んではいられない。
    彼女は破壊されたカズデルに視線を向ける。
    魔王の伝説に触れるのはこれが初めてではない。
    その古の力を再び手にし、利用することを考えたのは長い年月の中で一度や二度ではなかった。
    彼女はティカズに関する記憶を無理矢理頭の奥にしまい込む。
    源石がまだ生命を今の形に作り変えていなかった時代を懐かしんだりしないように。
    とうに失われた一つの可能性に、思いを馳せたりしないように。
    あるいは……今度こそ、決断を下す時が来たのかもしれない。
    …………
    ……
    「ケルシー。これが……あなたが前回歩んだ旅路なのね。」
    「実際には、君が見たものよりさらに果てしなく、何千何万倍も長いものだがな。テレジア。」
    「それでも私は今、初めてあなたを――私の敵を、理解できたのかもしれないわ。」
    「……同感だ、サルカズの王よ。」
  • PHY-Y
    医師
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +115
    • 攻撃速度 +5
    医師の特性
    味方のHPを回復
    地面マスにいる味方を治療時、HP治療効果+15%
    2
    • HP +155
    • 攻撃速度 +6
    Mon3tr
    「Mon3tr」を配置/治療可能(退場後の再配置時間は25秒)、自身と「Mon3tr」を優先して治療する。「Mon3tr」がケルシーの攻撃範囲内にいる時、攻撃速度+12、防御力+15%。「Mon3tr」がケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    Mon3tr
    ケルシーから治療を受けることができる。ケルシーの攻撃範囲内にいる時、攻撃速度+12、防御力+15%。ケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    3
    • HP +195
    • 攻撃速度 +7
    Mon3tr
    「Mon3tr」を配置/治療可能(退場後の再配置時間は25秒)、自身と「Mon3tr」を優先して治療する。「Mon3tr」がケルシーの攻撃範囲内にいる時、攻撃速度+20、防御力+20%。「Mon3tr」がケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    Mon3tr
    ケルシーから治療を受けることができる。ケルシーの攻撃範囲内にいる時、攻撃速度+20、防御力+20%。ケルシーの攻撃範囲外にいる時、防御力が0になる
    砂塵が空に口づけする中、遠方にあるオアシスの畔では行商人が足を休めている。
    ケルシーは長いこと黙り込んでデッキに佇み、時に遠方を眺めたかと思えば、時に自分の足元に視線を向けていた。
    その動作は、まるでロドスという名のこの船が彼女にしている隠し事を探っているかのようだ。
    少しすると、若きクロージャが書類の山を持ってやってきて、少し迷ってからケルシーの思考を遮った。
    「ロドス・アイランド製薬!」
    クロージャはわざとらしい笑顔を浮かべて、思い出を頭の片隅に追いやると、言葉を続けることにした。
    「レム・ビリトン側の手続きは終わったよ。あのウサギたちったら、うちのアーミヤちゃんみたいな可愛げもないし、面倒な連中でさー!こんなに時間をかけさせといて、『この船は当初鉱物輸送船として登録されていて』とかなんとか言い出すんだから……」
    クロージャはそこで言葉を止めた。
    幸いケルシーも我に返ったようで、なだめるような口ぶりで「苦労を掛けたな」と答えた。
    「この後はどうするの?」
    「前回の会議で結論が出なかった部分の続きだ。」
    「もっとたくさんの人が出ていっちゃうのかな?」
    「そうなるだろうな。」
    ケルシーは再び遠方を眺めた。あの行商人はすでに荷物をまとめ終えたようだ。
    「彼らはバベルの人間であってロドスの人間ではない。互いの間にこれ以上血が流れないよう祈るばかりだ。」
    「それはわかってるけど、でも――」
    割って入った声に、会話は中断された。
    「ケルシー先生?クロージャさん?」
    その声を聴いた瞬間、ケルシーの目には微かな優しさと心配が浮かび、そしてすぐいつもの無表情へと戻った。
    「しっかり休むよう言ったはずだ、アーミヤ。」
    「私は大丈夫です。ただ、また悪夢を見てしまって。」
    アーミヤは襟口をすぼめるように寄せた。強風の中に立つその身体はとても小さい。
    「ドクターをチェルノボーグに送る途中にも、荒野に停泊していた時にも……あのサルカズの戦士たちは……」
    ケルシーとクロージャは素早く視線を交わした。
    クロージャはケルシーの考えを理解している。アスカロンやAceもよくアーミヤの見舞いに行っているからだ。
    彼らが何も言わずとも、今のアーミヤなら察せてしまうだろう。
    「ああ。彼らは我々と敵対する道を選んだ。」
    「なぜですか?」
    「彼らはまだバベルから与えられた美しい約束の中に生きていて、幻とも言えるそれを手放したがらない。向こうからすれば、こちらの行動は脱走兵と変わらないものだろう。」
    「テレジアさんの約束が、その幻なんでしょうか?」
    「彼らにとってはもはや決して掴めない幻に等しい。」
    ケルシーは静かにアーミヤのそばに立ち、その頭を撫でた。アーミヤは少し背が伸びたようだ。
    「それでも彼らは、戦争を継続すればすべての問題を解決できると思っているんだ。」
    「ですが、彼らが間違っているようにも思えません。」
    ケルシーは少し驚いて、アーミヤへと視線を向けた。
    疲れ果て、戸惑いを抱く少女を、ケルシーはしばらくの間見つめ、そして何か報われたような安堵を覚えた。
    「その通りだ、アーミヤ。彼らも間違ってはいない。」
    「では、ドクターはどうなるんでしょう?ウルサスは安全なんですか?」アーミヤはケルシーを見上げた。「ドクターに会いたいです。」
    この子供っぽい仕草と言葉に、ケルシーは珍しく動揺した。
    するとクロージャが、後ろからアーミヤを抱きしめる。
    「ねえ見て、アーミヤちゃん!」
    少女の目に映ったのは、名も知らぬレム・ビリトンの行商人が、遠くで砂塵を巻き上げながらバギーで疾走していく姿だった。
    至るところに荷物がくくりつけられたそのバギーは重たそうだったが、どこか可愛らしくも見えた。
    クロージャはおどけて笑うと、アーミヤを強く抱きしめた。
    「ロドスの旅はこれからだよ。ドクターが戻ってきたらあたしたちがテラで一番すごい鉱石病専門家になるわけだしね!」

基地スキル

  • 未知なる技術
    加工所で任意の素材を加工時、副産物の入手確率+70%
  • 最高権限
    制御中枢配置時、全製造所の製造効率+2%(同種の効果は高いほうのみ適応)