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メラナイト

狙撃タイプ — 精密射手
高威力の中距離射撃
  • CB22
  • 遠距離
  • 火力
  • 爆発力
/ 80
【コードネーム】メラナイト
【性別】女
【戦闘経験】四年
【出身地】クルビア
【誕生日】3月15日
【種族】フィディア
【身長】155cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、感染者に認定。
【物理強度】標準
【戦場機動】優秀
【生理的耐性】標準
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】標準
【アーツ適性】標準
メラナイトは以前クルビアのある武器テスト会社に雇われ、上級武器テスターとして働いていた。鉱石病に感染後、会社を解約し、治療のためにロドスに訪れる。そしてロドスと契約を結び、外勤オペレーターに就任した。
造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果に異常があり、鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

【源石融合率】6%
感染レベルは比較的軽度であり、現時点で体表に源石結晶の分布は確認されていない。

【血液中源石密度】0.23u/L
患者自身の訴えと造影検査双方から、感染ルートとメカニズムが比較的特殊であることが確認された。そのため、治療においては通常よりも注意が必要である。
医療部での検査と診断が一段落すると、小柄のフィディアは誰にも声をかけず、ドアを押し開けて人事部のオフィスに入ってきた。そしてシンプルながらも格式が整った履歴書をデスクに置き、短く一言「入社希望です」とだけ言うと、さっと人事部オペレーターの向かいに座った。その間に余計な言葉は一つも発さず、ただ相手の一挙一動をじっと見つめていた。結局、その日当直の人事部オペレーターはプレッシャーに耐えきれず、「上司に確認してみます」と言い訳をして逃げ出してしまったのである。
入職後オペレーターとなったメラナイトは、以前と同じように冷淡かつ物静かで、効率を追い求め常に単独で行動をするスタイルを保ち続けた。彼女の入職試験は何度も先送りにされたが、いざ試験が終わり初外勤を任された時のこと。敵と接触した瞬間に、彼女は精確かつ獰猛な攻撃で、徹底的な火力制圧を行った。他の人に残された仕事は戦場の後片付けくらいしかなかったのだ。
ロドスに戻ると、隊長は全員に酒を奢った。当然メラナイトも飲み会に誘われていた。ほかの者たちが世間話や冗談、軽い口論を交わす中、メラナイトだけは端のほうで一人静かに酒を飲んでいた。彼女を仲間外れにしているように感じた何人かの隊員は時折話しかけてくるが、彼女はいつも通りそっけない態度ではあったが、それでも聞かれればちゃんと答えていた。偶然居合わせたミッドナイトがその場面を目撃してしまった時までは。
ミッドナイトの軽い態度に対し、メラナイトは始めのうちはただ黙り込んでいるだけだった。周りは多少心配そうにしていたが、ミッドナイトの流儀はすでにロドス中に知れ渡っている。その場にいたほとんどの者は、彼がどんな風にあしらわれ落ち込むのかを楽しみにしていた。しかし、彼が何かまずいことを言ってしまったのか、メラナイトは明らかに動揺し始め、しまいには急にバーカウンターに立てかけていたレールガンをつかみ取ると、ミッドナイトに照準を向けたのだった。
周りは一瞬にしてざわついたものの、幸いメラナイトは威嚇しているだけのようで、本当に攻撃するつもりはないらしい。その後、二人はまとめて説教を食らい、以降は特に互いに関わることはなかった。
あれからかなり時間が経った頃、二人は再びバーで居合わせた。今度、ミッドナイトはメラナイトに高価な酒を奢り、メラナイトはミッドナイトに自分で調合したフレグランスをプレゼントして、丁寧に謝罪した。

俺も悪かったよ。あの時の君の緊張と警戒に気が付けなかったなんて。幸せを届けることが俺の使命だというのに、なんという失態を……
――ミッドナイト

大袈裟なミッドナイトの挙動を前にして、メラナイトは再び困惑してしまう。だが今はもうロドスに来たばかりの頃のような心細さを感じていない。そしてミッドナイトの大袈裟な立ち振る舞いの裏に良らぬ企みを潜ませていると誤解することもなくなった。
なので、彼女は即座にレールガンを構える代わりに、一緒に来ていたスポットに意見を伺った。そして、次の日にミッドナイトと一対一の訓練予定を入れたのだった。
【宣伝資料】
3. 試作型単兵用質量投射式殺傷武器
本展覧会において最も注目されている新概念武器の一つ、クルビア軍事工業の発展方向を導く斬新作……
……極めて高い運動エネルギーと初速度を有し、ほぼ水平で直線の弾道と、フルセットのスマートアシスタント設備……
……独創的な全新しいエネルギー供給方式を採用したことにより、単独作戦における負担重量の問題を完璧に解決し……

【権限記録】
狂ってるわ、こんなレールガンを作り出した企業は、トップから平まで全員狂ってる。
あいつら、あちこちから網羅してきた継ぎ接ぎの新技術を全部この殻の中に突っ込んでるのよ!ええそうよ、確かに最小規模の電力供給モジュールで最高の弾丸初速度を実現したかもしれないわ。各種パラメータも確かに群を抜いてるし、なんなら肩に担いで動き回れるくらいの軽量化も実現できた。だけどね、じゃあどうして今まで誰も小型化に乗り出さなかったのか、それについて誰も考えようとしなかったのかしら?技術が全くもって未熟だからよ。万が一故障でもしたらどうなるか、誰にもわからないの!
そうそう、あと、メラナイトの入職試験は無期限延期でよろしくね。ええ無期限よ、エンジニア部と医療部の両方からゴーサインが出るまでね!こんなもの、完成させただけでも頭おかしいのに、武器性能テストをさらに外部に頼むなんてあり得ない。しかもまさか自社の社員にテストをさせる会社が本当に見つかるなんて!テストどころか、このまま置いてるだけでも危険なうえに、稼働させたら周りの源石活性に影響を与えるのもほぼ確実よ!メラナイトの感染とこれが無関係とは思えない。この武器を使うたびに病状が重くなる可能性だって――
なんですって?メラナイトは本当にこのレールガンが原因で感染したの?本人はそれを知ってるの?
知ってるの!?しかも、知っているうえで、このレールガンを手放そうとしないですって?
……ちょっとあの子をエンジニア部に呼んできて。面と向かってじっくり話をしないといけないわ。

追記:メラナイト本人の強い要望と戦闘スタイルを考慮した結果――もう直接言うね。隠しているみたいだけど、外勤任務中に十分な火力支援ができなくなることを恐れているみたいなのよ。今まで通りに戦えなかったら解雇されると思い込んでいるようで、どう説明しても信じてくれないの――でも最終的には、レールガンの改造に成功したわ。多少は破壊力が弱まってしまったけど、それでもかなりの威力よ。それに何よりも、しっかりとテストを行った結果、今のレールガンはちゃんと安全性が保障されているわ。
ロドスに来る前、メラナイトはとある無名の武器テスト会社に勤めていた。規模の小さい会社ではあったが、収入は驚くほど高かった――似たような会社は、他にも数多く存在している。はっきり言ってしまうと、クルビアの軍事産業にとっては大きな力を持つ大企業だけでなく、明るみには出せないような小さな会社も必要不可欠な一部なのである。
例えば、メラナイトの武器テスト会社での初任務は自分で選んだ武器のテストを行うことだ。彼女が選んだのは見るからに重たそうなクロスボウだった。入社後に十五日間の短期研修を受けると、十六日目にはクロスボウを携えて、数名の同僚と共に傭兵として錆鎚を討伐するためにある地へと向かった。
戦闘は一瞬にして終わった。錆鎚の軍勢は運動エネルギーでブーストされたクロスボウによる攻撃に対し、為す術もなく崩れ去った。一方メラナイトもただ機械的に照準を合わせて、装填して射撃するという動きを繰り返すだけで、戦闘が終わってからようやく、自身の肩甲骨と鎖骨が激しい反動力によってひびが入りかけていたことに気が付いた。その後のレポートで、メラナイトはその件を重点的に述べた。生産会社はすぐに後続試作品でマズルブレーキを他のモデルに交換してから、ようやく自社社員に二次テストを実施させたのだ――少しばかりの打撲傷で済んだメラナイトは、もう十分に幸運だと言わざるを得ない。彼女の同僚の中には、武器設計の欠陥のせいで重傷を負ったり、命まで落としてしまったりする者も少なくない。そして会社からは、形ばかりのわずかな補償が下りるだけなのだ。
結局のところ、企業イメージ低下への懸念を除けば、真に企業の選択を左右するのは経済面の事情である。軍事巨頭の社員は通常、比較的高い選抜条件と、その条件の高さに釣り合う福利厚生を有している。万が一死傷事故が発生したら、企業は――少なくとも理論上は――契約書で定められた賠償金を払わなければいけない上に、想定外の穴埋め求人による出費も考えなければならない。そのため、信頼性の検証が不十分な武器に関しては、テストを外部に発注する傾向にある。一方小規模の武器テスト会社はその真逆で、契約書にある低福利厚生と高所得は、すぐにでもまとまった金が必要な切羽詰まった人々にとって非常に魅力的なものだ。そして都合がいいことに、クルビアでそのような人はごまんといるのだ。

【権限記録】
だとしても、メラナイトのレールガンはロドスが改造する前までは、使用者に鉱石病に感染させる可能性が高いものだったのよ。テストするまでもないわ、生産会社がそれを知らないわけないじゃない。
今のところ考えうる可能性は一つだけ。あいつらがテストしたいのは、使用者が鉱石病に感染してしまうかどうかじゃないのよ。ただ、どれくらいの使用期間で感染するかを知りたがってたんだわ。感染までの期間が十分に長ければ、安全だと宣伝できるからね……
あいつらは別に、頭のネジが飛んでいるわけじゃない。ただ他人の命をなんとも思っていないだけよ。
BSWを引退したとある老兵がいた。彼は片腕をなくしたことで、銃と大量の賠償金を手に故郷へ戻り、妻と娘と再会を果たし、小さな雑貨店を開いたのだった。
ある日の夜中、老兵の娘は怒鳴り声で目を覚ました。至るところで悪事を働く強盗の一味が雑貨店に押し入ってきたのだ。片腕の店主ならきっと成す術もなく大人しく従うだろうと侮っていた彼らは、老兵の激しい抵抗に手こずる羽目になったのだ。
いつも冷静な娘は、引き出しから父が大事にしまい込んでいた銃をこっそり取り出し、教えてもらった手順で弾薬を詰め込み、銃口を強盗に向けた。しかし、どうしても発砲できなかった――銃を構えた体勢まま、娘は己の無能さを恨みながら、片腕の父が壁へと追いやられていくのをただ見ているだけだった。
激しく争う物音は近隣住民を叩き起こし、警察を呼び寄せた。そのおかげで娘は無事に救出されたが、老兵とその妻は強盗の刀によって命を奪われてしまったのだ……
カウンセリング担当の医療オペレーターに過去を打ち明けた時、メラナイトは普段の理性的かつ冷静な態度をほとんど保てなくなっていた。何度も話の途中で黙りこくり、自身を落ち着かせようとしたが、それでも発砲できなかったことを打ち明けたところで、声が出ないほど泣き崩れてしまった。
あの悲劇は、メラナイトの運命を徹底的に変えてしまった。親切な親戚たちは彼女の生活と学校の費用を負担してくれたが、激しい不安感と心細さに苛まれ続けたメラナイトは、ついには学業を諦め「武器テスト会社」への就職を選んだ――当時の彼女は、最先端の武器がそばにあれば、常に自身に付きまとう悪夢を追いやることができるかもしれないと、根拠もなく信じ込んでいたのだ。
本格的に仕事を始めると、メラナイトは自身の業務内容は傭兵と大差ないどころか、傭兵よりも悪質であることに気付いた。重大なリスクを抱えた武器を扱うことはさておき、他の人たちは金や恨み、あるいは信念のために戦うことがほとんどだが、メラナイトが引き金を引くのは、純粋に武器の効果を試すためでしかない――いわば、殺すためだけに人を殺しているのだ。まるで誰かを傷つけ殺めること自体に価値があるかのように。
メラナイトの行動スタイルは日に日に冷徹になっていくが、心に抱く心細さは大きくなる一方だった。伴って、自身に装備する自己防衛手段も複雑化する一方となった。しまいには、もう自分が何を怖がっているのかさえ分からなくなってしまったというのに、いつでも敵を制圧できる圧倒的な火力を持っていると確信した時にしか冷静さを保つことができなくなっていた……悪夢は遠ざかるどころか、ますますその恐ろしさを増している。ついに、メラナイトはいわゆる最先端の武器を配備された。しかしその武器は偽りの安心感をメラナイトにもたらしたと同時に、彼女を感染者にしてしまったのだ。
ある意味、感染してしまったことが却って、メラナイトを真の意味で悪夢から連れ出す第一歩となった。会社は鉱石病保険料の肩代わりを条件に、自分を縛り付けておくために感染させたのだと、メラナイトはそう考えた。それは彼女にとって、最も悪質な裏切りと言える行為だ。この時の裏切りがなければ、メラナイトはそのまま自滅の道の最果てまで、止まることなく駆け抜けていったのかもしれない。
人事部オペレーターがメラナイトに、休暇が半年も溜まっていると告げた時、彼女はとても驚いた。まずは休暇期間の合計日数を何度も確認し、続いて一度に取れる休暇の最大日数について尋ね、そして休暇中は待機態勢を保つ必要があるかどうか、さらには外勤のシフトとスケジュールが休暇に伴って延期されるかどうかについても確認した……とにかく、彼女の反応はまるでブラック企業の社長そのものであったのだ。
自分が心配していた問題がすべて起こらないことを知ると、メラナイトは恐る恐る一ヶ月間の休暇を申請した。
最初の数日、メラナイトはまだ何かの突発事件により自分の休暇が中断されることを警戒していた。休暇前と同じ生活スタイルとリズムを保ち、端末も武器も常に身に着けたままだった。唯一の違いはといえば、普段ほど張り詰めていないところだけだ。笑うべきか怒るべきか悩んだあげく、人事部オペレーターは貴重な休暇を無駄にしないようにと注意してあげると、メラナイトは数秒の間呆気に取られた――明らかに条件反射的にそれを一種の脅しと思い込んでしまったようだ――そしてようやく、相手は自分にちゃんと休暇を満喫してほしいのだと理解できた。
次の日はやっと、メラナイトは午後までダラダラと寝て過ごし、夕方になってようやく眠たそうな目で食堂に向かい、グムがソーセージを焼いてくれるのを待った。かなり空腹だったにも関わらず、いつよりもずっと楽しそうで、話しかけてくれたグムとそのまま雑談まで始めたのだ。そしてイースチナが開いている読書会のことを知り、食事を終えると早速イースチナの宿舎に寄って、本を何冊か借りた。
その日を境に、メラナイトはロドスのいろんな場所に姿を現すようになった。時には教室で幼いオペレーターたちと授業を一緒に聞き、時にはブリッジで風に当たり、時には訓練場で行動予備隊の訓練を見学し、時には療養庭園で本を読み、たまに誰かと小声で調香の心得について討論を交わしたり……相も変わらず口数は少なかったが、それでもなんらかの変化があるのは明らかだった。だけど誰も彼女のどこが変わったのか、はっきりと指摘できなかった。
休暇の最後の日に、メラナイトは自ら進んで、色々教えてくれた人事部オペレーターの元を訪ねた。
「休暇期間を延長してみる?まだまだ楽しみたいんじゃないの?」
「いえ……結構です。」
「そうね、今後のために休暇を多めに残しておくのも悪くないわ。」
人事部オペレーターはしばらくメラナイトの顔をじっと観察した。また自分の言葉を悪い風に深読みされることを恐れたのだ。幸い、そうはならなかった。
「そういえば、メラナイト、最近みんな君が変わったって言ってるよ。私もそう感じてはいるけど、具体的にどこが変わったのかはっきり言えないわ。」
「そうですか?」
「そうだよ……まさか自分でも気付いてなかった?」
メラナイトは眉をひそめしばらく考え込んだが、ふと小さな微笑みを浮かべた。
その笑顔を眺めているうちに、人事部オペレーターはふと気が付いた――もう一ヶ月近くも、彼女がレールガンを担いでいる姿を見かけていないということに。
HP
1664
攻撃力
882
防御力
210
術耐性
0
配置コスト
19
攻撃間隔
1.6 秒
ブロック数
1
再配置時間
70 秒

素質

  • パラメーター調整
    スキル初回発動後、二回目以降のスキル発動中の与ダメージ+15%

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • 飽和パルス
    自動回復手動発動
    初期SP
    25
    必要SP
    40
    継続時間
    30 秒
    攻撃間隔を延長し、攻撃力+180%
    atk
    1.8
    base_attack_time
    0.8
  • リミテッドバースト
    自動回復手動発動
    初期SP
    6
    必要SP
    15
    正面に向かって貫通弾を発射し、接触した敵全員に最大で攻撃力の500%の物理ダメージを与える。ダメージ量は弾の飛距離に応じて、180%まで減少する
    2回チャージ可能
    atk_scale
    5
    scale
    1.8

モジュール

  • ORIGINAL
    メラナイトの記章
    メラナイトは中距離の精密射撃により物理的損傷を与えることに秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては狙撃オペレーターとして区分し、精密射手の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • ARC-Y
    フレグランスイヤリング
    STAGEステータス強化説明
    1
    • 攻撃力 +45
    • 防御力 +20
    精密射手の特性
    高威力の中距離射撃
    正面にいる敵を攻撃時、攻撃力が105%に上昇し、対象の物理回避を無視する
    2
    • 攻撃力 +60
    • 防御力 +25
    パラメーター調整
    スキル初回発動後、二回目以降のスキル発動中の与ダメージ+19%
    3
    • 攻撃力 +75
    • 防御力 +30
    パラメーター調整
    スキル初回発動後、二回目以降のスキル発動中の与ダメージ+24%
    最新技術が用いられているという「粒子振動ブレード」を手にして、自分よりも頭二つ大きなサルカズと対峙した時、彼女は小瓶の形をしたイヤリングを片耳から外した。その中には彼女が丁寧に調合した緑色のネロリフレグランスが入っている。その香りのおかげで、彼女はここまでの道中で車酔いせずに済んだのだ。
    今回、彼女とその同僚の標的は逃亡犯の一味で、そのリーダーは今目の前に立っていた。かなり慌てた様子だった依頼主は相当な報酬金とともに、白兵戦が苦手な彼女へとこの武器を押しつけてきたのだ。そして、これを使えばサルカズを始末できるのは当然だといわんばかり、任務を終えたら武器の性能と各種データを報告するよう言いつけた。
    サルカズはどこからか奪ってきた剣を腰にさげながら、彼女を侮辱するかのように腕に残る無数の傷跡を見せびらかした。彼女は冷静を装ったが、その心拍数はどんどん上昇していった。
    サルカズが剣を抜き、彼女に向けて構えた。その動作がフェイントである可能性に思い巡らせた彼女の反応は一拍遅れ、その時にはもう刃が振り下ろされていた。彼女は間一髪のところで正しい判断を下し、身構えたが、遅きに失した。見れば、手に持った武器が真っ二つに折られている。
    次の一撃がくる前に、彼女は自ら地面に伏せ、イヤリングを握り潰した。
    濃厚なネロリの香りが鼻をつく。サルカズもそのにおいを嗅いだことを確信してから、彼女は顔を上げた。
    予想通り、サルカズの表情は恐ろしいものから呆然としたものに変わり、最後には似つかわしくない柔らかなものとなった。二本の刀傷が入った唇はもごもごと動き、戸惑いを覚えている様子だった。もし十分に時間を与えたならば、どんな言葉を口にしていただろうか。
    だが彼女はそんな時間を与えず飛び起き、半分残った刃をサルカズの胸に思い切り突き刺した。サルカズは大きく目を見開き、そのまま仰向けに倒れていった。
    刃をサルカズの胸から引き抜くと、温かな鮮血が手を汚す。
    彼女はふと泣きたくなった。たった今刺し殺した相手がまるで長年連れ添った親友のように感じられたのだ。けれどもそれは事実ではなく、彼女自身が砕いたフレグランスの効果に過ぎなかった。
    フレグランスを調合した時、メラナイトはフレグランスにそういった効果があることを把握していた。低濃度では単なる酔い止めだが、高濃度ではリラックス効果と擬似的な親近感を呼び起こすため、いざという時の切り札になることを。
    相手のサルカズはそれを知るはずもなく、二人の間に本当に忘れ去られた過去があると錯覚し、刺し殺された。しかしそれが薬品の効果によって引き起こされたホルモンの乱れの一種に過ぎないと知っていた彼女は、その場でサルカズを刺し殺すことができたのだ。そして、あと五秒もすればネロリの香りは霧散していき、偽りの感情は消え去ることもまた彼女は知っていた。
    五秒はあっという間だった。
    案の定、悲しみは消えてなくなり、しかし彼女は自己嫌悪に襲われた。
    そのイヤリングは入職当初に自分へのご褒美として選んだものだった。
    あの時はただ、本当に車酔いを和らげるフレグランスイヤリングが欲しかっただけだったことを、彼女は思い出していた。

基地スキル

  • 狙撃エキスパートα
    訓練室で協力者として配置時、狙撃の訓練速度+30%
    最終調整
    訓練室で協力者として配置時、狙撃の訓練速度+30%。特化ランク3への訓練をサポートする場合、訓練速度がさらに+45%