• Bagpipe
  • 风笛
  • 백파이프

バグパイプ

先鋒タイプ — 突撃兵
敵を倒す度所持コスト+1
撤退時に初期配置時のコストを返却
  • RV02
  • 近距離
  • COST回復
  • 火力
/ 90
【コードネーム】バグパイプ
【性別】女
【戦闘経験】五年
【出身地】ヴィクトリア
【誕生日】7月17日
【種族】ヴイーヴル
【身長】167cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、非感染者に認定。
【物理強度】優秀
【戦場機動】標準
【生理的耐性】優秀
【戦術立案】標準
【戦闘技術】優秀
【アーツ適性】標準
ヴィクトリア王立前衛学校卒業。ヴィクトリア軍に三年間服役した後、チェン警司の紹介によりロドスに加入した。
軍事教育を受けた軍人であるため、ロドス加入からしばらくの期間を経て、様々な任務においてプロフェッショナル級の戦闘技術と戦術素養を見せた。
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。

【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。

【血液中源石密度】0.11u/L
源石との接触は極めて少ない。

ヴイーヴルの中でも、この小娘の身体はトップクラスだと思うぞ。もし鉱石病に感染したら、その身体に備わった回復力だけで鉱石病を抑え込めるかどうか、この目で見てみたいほどにな……ふむ、流石に無理だな。試してみるか?いや、やめておこう。
——ワルファリン
ヴィクトリア出身のパワフルな女の子。
オペレーターたちには「いつも親しげで、ほぼ無自覚で他人を気にかける親切な子」と評価され、ロドスに入ってまもなく、大半のオペレーターと良い関係を築いた。
生活態度に関して、彼女はよく言えば些細なことにこだわらない、悪く言えば大雑把であるため、一見軍人の堅苦しいイメージとは結びつかない。少なくとも日常生活においては、軍人としての一面をめったに表に出さない。
かつて彼女はチェン警司と共にヴィクトリア王立前衛学校に在学しており、本人によると、二人は学生時代から深い友人関係にあったという。 一方のチェン警司はバグパイプの名前を聞くと溜息を漏らすようだが、彼女がバグパイプの身元保証人を引き受けたという事実から推測するに、やはり二人の関係は決して悪くないのだろう。
彼女が人に与える印象は明るく親切な女の子であるが、バグパイプはれっきとした元ヴィクトリア軍人であり、しかも非常に優れた軍人だったようだ。
ヴィクトリア王立前衛学校は独自の教育方針を採用しており、学生ごとに大まかに三つの教育方針が採られている。「近衛」として訓練された学生は卒業後、王室、貴族などの要人の警備に、「将校」として訓練された学生は軍の上級指揮官に、「士官」として訓練された学生は前線で軍隊を率い、戦地責任者を担当するようになるとされている。
「士官」として卒業したバグパイプは、間違いなく優れた軍事的才能を持っていると言えよう。
実のところ、オペレーターと軍人の育成では、圧倒的に規模感が異なっている。
オペレーターは、個体や小隊規模の作戦を重視し育成される。オペレーターの教育では、一人ひとりの個性に応じて訓練プランを与え、個々の強みを最大限に引き出すことに重きが置かれている。ロドスには個性溢れるオペレーターが多くいるが、各自の個性を最大限に発揮し、少数精鋭として互いに協力し合い、目標を達成することを狙いとしている。
一方の軍人は集団性を重視している。軍人にとっては、オールラウンドな能力に加え、マニュアル化と代用性が必要とされている。部隊の安定性と効率を確保するために、軍は個人の特徴ではなく、部隊の機能に基づいて意思決定を行う。
理論上、一人の軍人の総合的作戦能力はオペレーターより高いと考えられる。だが、そもそも元より両者は比較できるものではない。なぜなら、「オペレーター」は最初から戦争のために生まれた職業ではないからである。というよりも、戦争を可能な限り避けるためのものであると言えよう。
つまり、軍人としてのバグパイプは、そのままオペレーターの手本となり彼らに指導することは難しいだろう。教官のドーベルマン、元軍人のジュナーや耀騎士のニアールなどのメンバーたちがロドスに加入した際も、すぐにロドスの状況を飲み込んだとは言え、最初は自分たちが受けた軍事化訓練の影響で、ロドスの作戦方針に反する行動を取ったことが多々ある。
しかしながら、完璧な成績をもって軍事訓練試験を通過し、前線部隊の一員として戦争に参加していた軍人として、バグパイプはロドスに優秀な軍人としてあるべき姿を見せてくれたことは言うまでもない。己一人の力で軍隊に対抗できると考える、あるいは軍隊に対する知識が乏しい一部のオペレーターに対して、彼女は警鐘を鳴らす存在となっただろう。
彼女の破城矛は射撃機能が取り除かれたとは言え、恐ろしい戦争兵器には変わりない。命を危険にさらしてまで彼女に挑戦することはおすすめできない。
また、ここで評価すべきなのは、明るい性格が原因なのか、あるいは王立前衛学校の優れた教育のおかげなのか、彼女は軍人からオペレーターへの転向をあまり苦とせず、すぐにオペレーターとしての生活に馴染んだ点である。
オペレーターとしての彼女は、兵士のタフさと規律正しさを備えている。一方、兵士としての彼女は、オペレーターの機動力と柔軟さを備えている。教官のドーベルマンは個人的にこう評していた――「ヴィクトリアが他の国に勝るのは、兵士たちのプロとしての素質だろう。」
王立前衛学校、そして現代社会からの洗礼を受けても、ヴィクトリアの遊牧村出身のバグパイプには、変わらず田舎の素朴さが残っている。
それは田舎育ちの影響というだけでなく、幼い頃からの母による教育の結果でもあるらしい――周知の通り、ヴイーヴルの女性は大抵強いのだ。
子供時代より家の牧畜や畑仕事を手伝っていた彼女は、ロドスに入ってまもなく、支援部で関連業務を担当するオペレーターたちと良い関係を築き、ロドスの栽培と牧畜業務に貴重な経験と強みをもたらした。支援部に異動でもしたのかと思われるほどに、彼女は凄まじい熱意を示した。
また、彼女は様々な大型農用機械の運用もかなり心得ているようだが、惜しくもロドスではスペースが限られているため、栽培規模に合わせた小型トラクターしか使用できず、彼女のその特技を活かせる場は少ない。流石にロドス本艦の操縦を任せるわけにはいかないだろうし。
また、彼女は都市での生活に疎いというわけではなく、ただそれに挑戦して、失敗し続けているだけなのである。他のオペレーターよりやや頻繁に出される設備の修理申請が、その証拠だろう。
さらに、本人によれば、学生時代に貴族の同級生からおめかしのコツも学んだが、ひどい結果に終わったこともあるという。時間の流れとともに、その方面への努力は諦めたものの、いまだに自身の着こなしや顔つきを気にしているようだ。軍人の格好をしている時の姿に申し分はないが、普段着や顔の話題になると、彼女はいつもそんな悩みをあらわにする。
そんな必要はありませんよ、バグパイプさん。ありのままのあなたを、もう十分に可愛いと思っているオペレーターは大勢いますから。
前述の通り、彼女にその気があれば、ヴィクトリア第二師団で誰もが羨やむ地位につくことも可能だった。ヴィクトリアはこの大地で最も繁栄した帝国であり、その領土は強大な軍事力と密接に関連したものである。「士官」として卒業した彼女は、通常の兵士よりはるかに優待されるはずで、それに加えて彼女の優れた能力と親和性を鑑みれば……優秀な軍人に始まり都市の寵児に至るまでの道は、既にできているも同然である。
しかし、彼女はその道を歩むことはなかった。軍隊を去り、仲間と別れ、ヴィクトリアを出て、この危険な大地を漫遊することを選んだのだ。
文明社会を離れ、荒野に踏み入れることは、都市の住民からすれば想像できないことである。なぜなら、都市や集落を離れることはほぼ「死」と同じ意味をするからだ。旅の途中、彼女はトランスポーターと共に旅行したり、傭兵に力を貸したり、通りすがりの車をヒッチハイクしたり、様々な都市を訪ねたり、パスポートや国籍の問題で都市から追い出されたり、恨まれたり、陰謀に巻き込まれたりと、無数の経験をしたという……彼女曰く「経験できることは全部経験してきたべ~」だそうだ。

彼女がロドスに着任すると、オペレーターたちは彼女に好意を示し、手を差し伸べた。しかし彼女は、それを受けて逆に戸惑いを見せた。
ロドスを理解すればするほど、彼女の何かに対する迷いは大きくなっているように見える。そして、一連のテストと情報交流を経てリードというオペレーターの存在を知った彼女は、普段の陽気さはどこへやら、露骨に落ち込んで見せた。
彼女に重くのしかかっているものは何なのか?ヴィクトリアの軍事力をもってしても解決できない問題とは一体何なのか?ヴィクトリアで一体どんなことが起き、彼女と彼女の部隊は何に遭遇したのか?

「うちはヴィクトリアの元兵士だけど……でも、この件はロドスが首を突っ込むべきじゃないべ。うちはもう軍人じゃなくなったけど……ごめん……やっぱりうちが責任を取らないといけないべ。こりゃヴィクトリアの軍人の義務だし、うちたちが出奔する理由でもあるから。」
時がまだ来ていないようだ。
バグパイプは、一体いつになったら、何が起きたか教えてくれるのだろうか?
また、優秀な軍人としての彼女は当然皆に好かれているが、農地で汗を流し、なみなみに入った鍋を三つも一気にテーブルまで運び、ロングスカートを身に付け、くるくる踊りながら歌を歌い、故郷の話をするとどこか呆けたようになる彼女も……
同じように、皆に好かれているのだ。
バグパイプ自身が言うように、これまで感染者から遠く離れていた彼女にとって、ロドスでの全ては未知の存在である。
非感染者であり、感染者と無縁な生活を送っていた彼女からすれば、ロドス内部や周りで起きている全てのことは、簡単に飲み込めるようなことではないのだろう。
自分と無関係なことは無視すればいいという考えを持つ者がいたとしても、それは誰にも責められないことだ。だが、彼女は逃げなかった――十分に気を払いながらも、それらと交流を深めていく道を選んだ。
怖いものは怖いが、逃げるわけにはいかない。
もし「ロドスで最も友人が多い人ランキング」を集計したとすれば、バグパイプとグラニの二人がランクインすることは間違いないだろう。彼女がグラニを背負って廊下を走り、一部のオペレーターに「ちょっかいを出し」に行く姿は、とても微笑ましいものだ。
HP
2484
攻撃力
671
防御力
382
術耐性
0
配置コスト
13
攻撃間隔
1 秒
ブロック数
1
再配置時間
70 秒

素質

  • 精密装填
    攻撃時25%の確率でその攻撃のみ攻撃力が130%まで上昇し、攻撃対象数+1
  • 軍人の作法
    編成中、味方【先鋒】のストックSP+6

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • 迅速攻撃γ
    自動回復手動発動
    初期SP
    15
    必要SP
    35
    継続時間
    35 秒
    攻撃力+45%、攻撃速度+45
    atk
    0.45
    attack_speed
    45
  • ハイパーインパクト
    自動回復自動発動
    必要SP
    4
    次の通常攻撃時、攻撃力が200%まで上昇し、追加でもう一度攻撃する
    3回チャージ可能
    atk_scale
    2
    cnt
    3
  • クローズドボルト連射
    自動回復手動発動
    初期SP
    25
    必要SP
    40
    継続時間
    20 秒
    攻撃間隔を延長。ブロック数+1、攻撃力、防御力+120%、通常攻撃が3連撃になる
    atk
    1.2
    def
    1.2
    base_attack_time
    0.7
    block_cnt
    1

モジュール

  • ORIGINAL
    バグパイプの記章
    バグパイプは率先して戦場に切り込み、後続の展開に余裕を持たせる戦術に秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては先鋒オペレーターとして区分し、突撃兵の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • CHG-X
    破城矛マガジン
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +150
    • 攻撃力 +50
    突撃兵の特性
    敵を倒す度所持コスト+200%
    撤退時に今回の配置時のコストを返却
    2
    • HP +165
    • 攻撃力 +64
    軍人の作法
    編成中、味方【先鋒】のストックSP+6、自身を配置時追加でSP+2
    3
    • HP +180
    • 攻撃力 +73
    軍人の作法
    編成中、味方【先鋒】のストックSP+6、自身を配置時追加でSP+4
    ヴィクトリア王立前衛学校を卒業するには、最後に課せられる卒業試験を通過する必要がある。
    バグパイプに課せられた試験の内容は、「カイシャー郡南部の物流倉庫に潜入し、現地の暴徒の人質にされた一般市民を救出せよ」というものだった。
    出発前、バグパイプは教官室に呼び出された。
    「現地の駐在軍や警察に警戒されないように。」
    「無関係の事項には関わらないように。」
    「怪我をしないように。」
    先生はこれらの課題を告げた。
    「スリム先生、これは命令ですか?」
    「はぁ……」先生は一つ溜息をすると、「まぁ、私からのお願いだと思っておいて。」と語った。
    バグパイプは3つの「お願い」を真面目な顔で手帳に書き写すと、一番上に書かれていた「人助け」という文字の下に、強調のアンダーラインを引いた。
    任務の前半はとても順調だった。
    バグパイプは無事目標地点への潜入に成功し、コンテナの下に身を隠した。その後、そこで10時間も暴徒が現れるのを待った。
    「奴は?」
    「ああ、あの女はあそこの赤い車の中だ。どうする?」
    「どうするもこうするもあるか。さっさと片付けちまえ。」
    赤い車。バグパイプはそのキーワードを聞き逃さず、瞬時に行動を開始した。
    車の警護をしていた2名の暴徒を軽々と倒し、麻酔を打たれて昏倒した市民を見つけたバグパイプは、さらに別の暴徒の会話も捉えた。
    「他の奴らはおとなしくしてるか?」
    「薬を打ってあるからな、ぐっすりだ。」
    「身分の偽造は?」
    「男爵の口添えで、警察も素早く対応してくれたよ。」
    「他の住民にバレてないよな?」
    「バレるもなにも、みんなサルゴンから来たいわく付きの奴らだからな。家族が探しに来ることすらねぇよ。」
    「よし、じゃあ夜になったら国外に送るぞ。けっこうな数のクルビアのラボから催促されてんだ。」
    バグパイプは2秒ほどためらい、さらに手帳を開くと一番上の行に3秒間目をやって手帳を閉じた。
    大型トラックのエンジン音が聞こえた。バグパイプは左右を見渡すと、付近で一番大型の車両を見繕い、任務のターゲットを背負って運転席に飛び込んだ。
    エンジンをかけて、一気にアクセルを踏み込む。
    大型トラックは、そう遠くへ行かないうちに、倉庫の入り口に突如現れたコンテナ用クレーン車に追突されて停止した。クレーン車はかなりの勢いで走ってきたのか、倉庫の壁が半分崩れていた。
    数分後、知らせを受けてやってきた警察が、目を回した暴徒12名と、左手の薬指をすりむいたバグパイプを連行した。
    バグパイプは学校に戻ると、先生を訪ねた。
    「申し訳ございません。お願いは一つも守れませんでした。」
    先生はしばらく何も言わなかったが、やがてバグパイプに推薦状を差し出した。
    「ええっ? テンペスト特攻隊? スリム先生、私なんかが本当にいいんですか?」
    「ええ、推薦状はとっくに書いてあったわ。」
    「ありがとうございます!」
    「だけど……君が大型トラックにクレーン車で衝突した時、一緒に乗せていた人が誰かわかってる?」
    「任務のターゲットですよね?」
    「あれはね、意識を失った一般市民のふりをしたテンペスト特攻隊の隊員よ。本来は、彼女とその仲間たちであの十数名の暴徒を捕まえる予定だったの。でも君のおかげで、任務が前倒しに終わったみたいね。」
    「じゃあ本物のターゲットはどこに?」
    「ぶつけられた方のトラックの中よ。でも怪我もなく、無事に帰宅したわ。」
    「えっと、じゃあ……任務完了、でいいんですか?」
    「ええ」先生はバグパイプの肩を叩き、再び溜息をついた。「合格よ。正式に配属が決まれば、本物の破城弾も支給されるわ。」
    バグパイプは目を大きく見開いた。スリムは合格を言い渡された学生が皆そうするように、バグパイプも歓声を上げて喜ぶだろうと予想していたが、彼女はそんな予想を遙かに上回る喜びようだった。
    「道理で! 身長2メートルもある『一般市民』なんてなかなかいねぇもんなぁ! かっこ良すぎるべ! う、うちもあの人みたいな戦士と戦友になれるんですか!? うわぁ……あっ、コードネームも必要ですよね? テンペスト特攻隊ってどんなコードネーム使ってるんですか? 楽器? じゃあうち、コードネームは変えなくていいべ! 先生先生、手土産は何を持っていけばいいんでしょうか? ひき肉のゼリーは気に入ってもらえるでしょうか? それからそれから……」
    「リタ、苦情は受け付けないわ。」
    スリムはやれやれと言った様子でつぶやいた。彼女は素晴らしい生徒だ。将来きっと……良い兵士になるだろう。
  • CHG-Y
    「棒と袋」
    STAGEステータス強化説明
    1
    • 攻撃力 +65
    • 防御力 +13
    突撃兵の特性
    敵を倒す度所持コスト+1
    撤退時に初期配置時のコストを返却
    HPが最大値の40%未満の敵を攻撃時、攻撃力が115%まで上昇
    2
    • 攻撃力 +75
    • 防御力 +17
    精密装填
    攻撃時、30%の確率でその攻撃のみ攻撃力が135%まで上昇し、攻撃対象数+1
    3
    • 攻撃力 +85
    • 防御力 +20
    精密装填
    攻撃時、33%の確率でその攻撃のみ攻撃力が140%まで上昇し、攻撃対象数+1
    「何を持ってきたんだい?」
    質屋の主人は、懐で咳き込む子供の背中をあたふたと叩いており、客がカウンターに広げた品物には目もくれなかった。
    その時、バグパイプは自分が一瞬答えに詰まったことに驚いた。何よりも知り尽くしているはずのものなのに、これが何かを答えられなかったのだ。

    ――そうだ、これは鉄の棒と布袋だ。
    この鉄の棒は、カイウェン郡の積みわら置き場で使ったものだ。
    あの時は、まるで発酵したオリジムシの粘液のような悪臭が、夢の中へと乱暴に入り込んできた。目を開けば、腹を空かせた招かれざる客――年老いた裂獣が、顔によだれを垂らしてきていた。そこで彼女は反射的にそばにあった鉄の棒を掴むと、裂獣の頭を思い切り殴りつけ、なんとか難を逃れたのだ。
    そしてこの布袋は、ペニンシュラ郡の砂利道で使ったものだ。
    あの関所の衛兵はかなりの力持ちだった。キャラバンの荷台から引きずり下ろされた時は、腕がもげるかと思ったほどだ。そこで彼女は、慌てて身分証を布袋の隙間に押し込むと、荒野を渡り歩く流浪の吟遊詩人を装ってなんとかその場を切り抜けたものだ。
    ――いや、もしかすると、バールと軍隊ラッパだっただろうか?
    このバールは、コナー郡の湿地帯で命を助けてくれたものだ。
    あの時は、傭兵のアーツが危うく、身を隠していた木の樹幹を真っ平らにするところだった。破城矛の弾薬マガジンもそんなときに限ってうまく開かず、もし持っていたバールがマガジンの取っ手にはまってくれなければ、あの場で命を落としていたかもしれない。
    そしてこのラッパは、カイシャー郡の白い砂地で鳴らしたものだ。
    犠牲になった兵士たちは遺言を残すこともかなわず、生き残った上官も軍隊ラッパを吹き鳴らせぬほど負傷していた。燦々とした日照りの下、粗末な集団墓地は恐ろしいほど静まり返っていたものだ。それでも幸いバグパイプが持っていた楽器で高らかな音を響かせたおかげで、人々は亡き戦友たちとの別れの場を、なんとかそれらしく整えることができたのだ。
    ――ああいや、違う。これは本当は、クランクハンドルとバグパイプだった。
    このクランクハンドルは、村で一番大きなトラクターに付けられていた、腕の半分ほども長さがあるものだ。彼女は当時、強がって母よりも上手にエンジンをかけられることを証明しようとして、腕を脱臼してしまった。それでも、トラクターに乗って病院に向かう道すがら、彼女の笑い声は村の駄獣を半分も呼び寄せたものだった。
    そしてこのバグパイプは、小さな瘤獣の革袋に、彼女の母がチェック柄の柔らかな生地を縫い付けて作ってくれたものだ。村の人々は皆、くるくると周りながらバグパイプを吹くという彼女の特技を知っており、幼い彼女が習いたてのバグパイプで村中に耳をつんざくけたたましい音を響き渡らせていたこともよく覚えている。

    残念ながら今となっては、破城矛のマガジンをこじ開け裂獣を殴りつけたクランクハンドルはすっかり変形してしまい、もはやトラクターのエンジンを始動させることなどできない。
    そして、哀悼の旋律を奏で、パイプバッグに身分証を潜ませたバグパイプも空気が漏れて、まともな音を鳴らすことはできなかった。
    店主は渋い顔をして、カウンターの下から薄汚れたコインを二枚取り出した。今日まで歩み続けるうちに、故郷が彼女に残したものはもうこれだけになっていたのだ。しかし少なくとも、この二枚のコインによって、故郷は彼女をもう少し先まで送り届けてくれるだろう。

基地スキル

  • 牧歌
    宿舎休養時、自身の1時間ごとの体力回復量+0.55。配置宿舎内、全員の1時間ごとの体力回復量+0.1(同種の効果は高いほうのみ適応)
  • 熟練
    加工所でSoCを加工時、副産物の入手確率+80%