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パッセンジャー

術師タイプ — 連鎖術師
4体目まで跳躍していく術ダメージを敵に与え、跳躍する度ダメージが15%減衰し、敵を一瞬足止め
  • SG07
  • 遠距離
  • 火力
/ 90
【コードネーム】パッセンジャー
【性別】男
【戦闘経験】十六年
【出身地】クルビア
【誕生日】9月1日
【種族】リーベリ
【身長】187cm
【鉱石病感染状況】
体表に源石結晶の分布を確認。メディカルチェックの結果、感染者に認定。
【物理強度】普通
【戦場機動】標準
【生理的耐性】標準
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】標準
【アーツ適性】優秀
クルビア出身のパッセンジャーは、幼い頃からすでに頭角を現しており、十三歳の頃に学校を極めて優秀な成績で飛び級して卒業すると、すぐに源石工学及び応用学の専門家であるソーン教授に見込まれ研究の助手に抜擢され、ブライアン創生科学研究所に入所して勉学に勤しんだ。二十数年前、彼はあるプロジェクトのためにサルゴンの奥地へと向かったが、それ以来消息を絶った。のちに、イバト地区の闇市の主な顔役の一人としてロドスに接触し、闇市から身を引いた後は一感染者として治療のためにロドスに訪れ、また現在はエンジニア部所属のオペレーターとして各任務で活躍している。
造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果に異常があり、鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

【源石融合率】7%
額に少量の源石結晶の分布が見られる。出現箇所から考えるに、実際の感染状況は予想より深刻であると考えられる。

【血液中源石密度】0.29u/L
パッセンジャーは長期にわたって、過酷な環境下で源石機械の生産作業に従事していた。その上、感染が疑われた時期に必要とされる措置を一切行っていないため、病状の進行は楽観視できないものである。

検査は終わったわ。現時点まだ明らかな合併症の症状は見られていないけど、絶対油断してはダメよ。特に額に源石結晶ができてしまったのだから、ある時を期に一気に病状が悪化してしまう可能性が高いの。発生する可能性がある様々な症状を防ぐためにも、ちゃんと治療に協力してもらいたいものね。――医療オペレーター
エンジニア部はパッセンジャーが持ち込んだ各種の自律式機械に対し、リバースエンジニアリングを行った。その結果は目を見張るものだった。
種々の状況から、客観的にも容易に想像がつく通り、サルゴンでパッセンジャーがクルビアのラボに提供されるような最先端工学材料を入手することは不可能であった。したがって彼が用いるアーツユニットも非常に原始的なものである。それでも、パッセンジャーは有用な機械構造を独自開発し、彼が持つとある技術知識と合わせることによってかなりのエネルギー放出を可能とする自律式兵器の数々を生み出している。
核となるその技術の由来を尋ねられた際、パッセンジャーは特にはぐらかしたりはしなかった。当該技術の原型はクルビアの、ある発掘実験を源としており、現地の研究者はサルカズの古い巫術と関わりがあると見ている。彼らは風変わりなアーツ形式を用いて源石にエネルギーを注入するのだが、周囲でエネルギー注入済の源石結晶体をいくつか発見した。クルビアの関連研究所はそこに革新的なエネルギー源の可能性を見出し、研究を行っていた。その後の顛末に関して、パッセンジャーは多く語らなかった。
しかし注目すべきことがひとつある。多くのエンジニア部オペレーターは、自らが作り出した存在に名前を付けることに熱心である。個人的な感情を注いでいる者もいれば、機能性を考えて番号を振り当てる者もいる。しかし、パッセンジャーは自らが作り出した機械に対してそのような考えを全く抱くことがないようである――彼の機械の扱い方は浪費にも近い。たった一度の模擬テストにでさえ躊躇なく数台の自律式機械を使い潰した。勿体ないと感じることは欠片もないのだろうか?
ロドスにいるパッセンジャーはあまりにもおとなしすぎる。
もちろん、それが悪いとは言わない。いいことに決まっている!むしろ一部のオペレーターが騒がしすぎるんだ!
しかし、パッセンジャーはかつてサルゴンで「サンドソルジャー」の名で呼ばれていた人物だ。言ってしまえばただの闇市の顔格に過ぎない――サルゴンの闇市は数え切れるようなものではない――が、彼の手腕も積み上げてきた財も実際にすごいものだ。豊富な物資を安定して供給するルートも、イバト地区の、合法非合法を問わないほぼ全ての傭兵、トランスポーターや商隊への連絡手段も提供できるような人物なのだ。
そう、もちろんこれもいいことだが、彼はそういったものをほとんど対価なしに、タダに近い状態でロドスに提供したのだ。タダ!この意味がわかるか?安心して受け入れられるわけないだろう?
エンジニア部のオペレーターによれば、彼は別にそこまで狂熱的な機械マニアというわけでもないらしい。あれほど腕がいいというのに……それだけではなく、自身が感染者であることにも頓着していないようだし、趣味もろくに持っていないそうだ。まれに潔癖症があるのかと言いたいくらい部屋を塵一つ残さず整理整頓することもあれば、そんなのどうでもいいと言わんばかりに部屋で部品を弄ってあちこち鉄くずを散らかすこともある。まったくもって意味がわからない。
そういえば、唯一彼が名前を付けたものがある――例の特殊なエネルギー充填源石装置を積んだドローン、「ソーン」という名前だそうだ。
ああ、これほどに多く語ってきたが、結局問いたいのは一つだけなんだ。失礼かもしれないが――
――彼には生きていくなかで、大切だと思うものがあるのだろうか?
パッセンジャー。
揶揄するにこの名を自身に宛てがった彼は、しかしその実自身の「故郷」が一体どこなのかさえ知らずにいる。
本人は、二十数年にわたるサルゴンでの蟄伏が、全ては復讐という単純な目的のためであったことも、サルゴンで発生し、世間を戦慄させた謀殺事件が自身と関係していることも潔く認めた。
確かに、復讐というものは多くの者にとって原動力になりうる。しかしそれを実現するために、クルビア出身の何の変哲もない若い研究助手だったエリオットは、二十年の時をかけてサルゴン人になりきった。イバト地区において、彼は相当の人脈、財産と権力を手にした。闇市という場の特殊性から、多くの地元の貴族と境外の商人が彼と密接な関係を保っていた――しかし復讐という目的を遂げた後、それら全てを、自身が二十数年をかけて築き上げたそれら全てを、彼はいとも簡単に捨て去ってしまったのである。
サルゴンで最下層の見習いから下積みをし、何もかもを耐え切ってようやく頂点へと至った闇市の主は、一切の執着を見せず何もかも放棄した。復讐を終えた彼はそのまま、イバトにおいて王族のような生活を享受することさえ可能だったというのに。そんなエリオットが名を変えてロドスに加入したことは、実は何か企みがあるのではないかと一部の人事部オペレーターから危惧されている。
それとなく真意を探ろうとした我々に対し、エリオット、つまりパッセンジャー本人は容易く我々の目論見を見破って、手にしたブラックコーヒーに視線を落とし、しばしの沈黙の後に答えた。
「……私はサルゴンが憎い。砂の一粒まで憎んでいるのです、ずっと。」
ドクター。ケルシー。シェーシャ。
パッセンジャーがロドスについてからの動向を見ると、彼が興味を持つのはこの三人のみのようである。
彼は確かに礼儀正しく、仕事において妥協もしない。しかしエンジニア部の目標を達成した時も、危険な任務を遂行して凱旋した時も、その瞳には欠片も感情の揺れが見られない。
彼は自分のことをほとんど隠しない。一番に核心的な部分以外であれば、誰だろうと尋ねられれば事前に原稿を用意したかのように簡潔に自身の経歴と現状を述べる。誰も彼もが自らの過去に対してそのような態度で向き合えるわけではない。かの火災で最後の復讐相手を葬って以来、パッセンジャーは解放された。しかし、人生において一番輝いていたはずの歳月を、彼は全て復讐に捧げたのである。サルゴンの砂の海から抜け出した彼に残されたものはあるのだろうか?
パッセンジャーは、ケルシー先生は自身の命の恩人であると言っていた。その言葉を口にする時に、彼の象徴とも言えるその笑みからは、欠片も感激の意は見当たらなかった。しかし彼はある部分では確かにケルシー先生を信じている。二人がどういう形でサルゴンで出会ったのかに関しては、ケルシーが一文字も語らないというのなら、パッセンジャーもまたケルシー本人に対する情報を何一つ洩らさないというスタイルを貫いている。
一方、シェーシャに対しては――パッセンジャーのシェーシャへの関心は非常に危険なものである。シェーシャがクルビアのとある軍事工業企業について調べているということは、ドクターを含めて極わずかな者にしか知りえない情報である。不幸なことに、シェーシャの「未だ果たせぬ復讐」はパッセンジャーの関心を引く全ての要素を揃えてしまっている。彼はシェーシャが真相を解き明かすことができるように熱心に手伝っており、可能性のある様々な答えを示唆している。ロドスオペレーターという身分の制限がなければ、シェーシャとパッセンジャーはもしや本当に例の軍事工業企業に対して報復していたのではないかと、想像するだけでおぞましい。
パッセンジャーが今まで何一つ過激な手段に走らなかった重要な原因はドクターである。ドクターに対して抱いている感情がどのようなものであろうと、彼はドクターに対してだけ興味を顕にしており、ドクターが参加する各種任務に対してもより積極的に関わる意欲を見せている。彼の視点からは自身の今の奇怪な生活状態をドクターと重ねたのか、あるいは、単純に誰かが自分に命令を下し、方向を示してくれていることが心地よいと感じているのか。いずれにしても、より慎重に彼を観察しなければならない。
彼が言うように、クルビアを離れ、サルゴンを離れ、今ロドスに身を置く彼は、この大地のどこにいようとも、異郷の客――ただの通りすがりの部外者に過ぎないのである。
死を目前にする状況だったというのに、ケルシーさんから機会を、イシンさんから力をいただき、私の運命を掌握しようとした者たちへ復讐を仕掛けました。そして、私は成功しました。計り知れない時間と有り得たかもしれない未来を費やして、運命を壊滅させるという手段でもって主導権を奪い返しました。
そして今、私は過去と決着をつけなければなりません。しかしこの先はどうすればいいのでしょうか?どこへ向かえばいいのでしょうか?
ドクター、ケルシーさんに代わって教えていただきたい。私の命はすでに鉱石病によって残りわずかになっていませんか?残されたこのわずかな時間を、どのようにすれば効率的に使い、死すべき場所を見つけられるのでしょうか?
あなた様こそが今の私の指揮官ですので。
あなた様の仰せに従います。
HP
1558
攻撃力
774
防御力
130
術耐性
20
配置コスト
33
攻撃間隔
2.3 秒
ブロック数
1
再配置時間
70 秒

素質

  • メカニズムアナライズ
    HPが最大値の80%以上の敵を攻撃時、3秒間その攻撃対象にパッセンジャーの与ダメージ+20%
  • ラストソルジャー
    隣接4マス内に敵がいない時、攻撃力+8%

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • エレキチェーン
    自動回復自動発動
    必要SP
    5
    次の通常攻撃時、攻撃力が250%まで上昇し、跳躍の最大対象数が4体になり、足止めの効果時間が1.5秒になる
    pasngr_s_1.atk_scale
    2.5
    pasngr_s_1.sluggish
    1.5
    pasngr_s_1.max_target
    4
  • フォーカスオーダー
    自動回復手動発動
    初期SP
    20
    必要SP
    40
    継続時間
    35 秒
    攻撃距離+1、攻撃力+30%、攻撃間隔かなり短縮し、攻撃の最大跳躍回数が5になる
    base_attack_time
    -0.5
    ability_range_forward_extend
    1
    atk
    0.3
    attack@max_target
    5
  • ルミナスフラグメンツ
    自動回復手動発動
    必要SP
    30
    HPが最も高い敵1体の位置を中心に継続4秒のサンダーストームを生成し0.5秒ごとにサンダーストーム範囲内ランダムの敵1体に攻撃力の150%の追加攻撃を行う
    2回チャージ可能
    atk_scale
    1.5
    duration
    4
    ct
    2
    projectile_delay_time
    4
    interval
    0.5
    chain.max_target
    4
    sluggish
    0.5

モジュール

  • ORIGINAL
    パッセンジャーの記章
    パッセンジャーは機械による複数の敵への連鎖攻撃に秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては術師オペレーターとして区分し、連鎖術師の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • CHA-X
    電磁調節器
    STAGEステータス強化説明
    1
    • 攻撃力 +65
    • 攻撃速度 +5
    連鎖術師の特性
    4体目まで跳躍していく術ダメージを敵に与え、跳躍する度ダメージが10%減衰し、敵を一定時間足止め
    2
    • 攻撃力 +80
    • 攻撃速度 +5
    ラストソルジャー
    隣接4マス内に敵がいない時、攻撃力+8%、SPの自然回復速度+0.15sp/秒
    3
    • 攻撃力 +90
    • 攻撃速度 +5
    ラストソルジャー
    隣接4マス内に敵がいない時、攻撃力+8%、SPの自然回復速度+0.25sp/秒
    「水……」
    砂嵐の中をかなり歩いた上、水も丸一日口にしていない。身体の限界が近づいていた。
    ケルシーは水筒を出すわけでもなく、冷たく「もう少し我慢しろ。」と告げると、さっさと歩き出してしまった。
    どれほど砂嵐の中を歩いただろうか? 三時間? 五時間? 砂嵐が絶えず服の中に差し込まれ、勢いそのままに顔を叩く砂に、目が潰れてしまいそうだった。しかし止まるわけにはいかない。後ろから執拗に迫るサルカズの傭兵は、その責務に駆られ、砂嵐でも歩みを止めることはないのだ。
    水は……とうに飲み干してしまったのだろう。
    砂漠には空の水筒に砂をつめて希望を絶やさないようにする伝統があると聞く。だがもう砂など飲み飽きた。水だ。水のことしか考えられない。手に入るのなら、手持ちの硬貨をすべて出したっていい。
    しかしこの砂漠では、輝く金属には何の価値もないのだ。
    銀色のトランクを抱きしめて、歯を食いしばりながら足を動かす。
    耳に飛び込むすさまじいうなり声は、亡者の泣き声のようであり、亡霊の呼び声のようでもあった。ソーン教授もそれに混じり、僕の名前を呼んでいるのかもしれない。
    だが、もうよく聞こえない。
    頭の中ではそんな音が反響し続けている。どれほどになるだろうか? 三分? 三時間? それとも三年?
    砂嵐に覆われた空からは、昼夜の表情すらうかがい知ることはできず、まるで時間が止まってしまったかのようだ。その下で生を求めてもがく人々だけが、刑罰に耐え続けているのだ。
    僕はただ研究がしたいだけ――ただ科学の進歩の一助になりたいだけだ。こんな風に、砂の海に倒れて干からびるのは本意じゃない。
    頭がもやもやしてガンガン痛む。身体はとうに知覚を失ったようだ。僕はまだ歩いているのだろうか? それともエリオットという名の肉体が蠢いているのを傍観しているだけなのだろうか?
    いいや……もはや思考すら贅沢なものになってしまった。今頭にあるのは、「進め」という指令だけだ。
    進め……進め……進め……
    ……しかし砂漠はどこまでも広がっている。
    「エリオット、口を開け。」
    口を?
    無意識に唇と歯が緩み、口の奥への通り道を露わにしていた。
    砂をまとった果実が口の中に飛び込む。
    酸っぱくて渋い。いや、甘い? ああ、水、水だ。
    水だ。
    ……
    いつの間にか、耳元の風音は止み、大地は静寂を取り戻していた。そこにあるのは、太陽と、砂漠と、そこを歩む平凡な二人だけだった。
    ……
    視線を上げると、どこまでも一面の砂が広がっていた。
    一目で見通すことなど到底不可能だ。まるで地面に散らばり、濡れた革靴で何度か踏まれた技術資料のようだ。元通りに集めることも、揃えることもできない。
    感情のままに砂を蹴り上げた。蹴られた砂は砂丘の傾斜を転がり落ち、何ごともなかったかのように砂漠の中に溶けてゆく。
    砂、あるのは砂ばかりだ。
    生まれて初めて砂を恨んだ。
    「行くぞ。もうすぐ補給が得られる。」
    ケルシーの言葉が思考を遮った。
    だけど、もうすぐって、どれくらいの時間なのだろう。
    補給といっても、どれほどの補給が得られるのだろう。
    ケルシーは決して、余計な希望を持たせるようなことはしない。
    だが、少なくとも……
    視界の奥に、サボテンが一株見えた気がした。
  • CHA-Y
    王権の金貨
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +20
    • 攻撃力 +70
    連鎖術師の特性
    4体目まで跳躍していく術ダメージを敵に与え、跳躍する度ダメージが減衰しなくなり、敵を一瞬足止め
    2
    • HP +40
    • 攻撃力 +85
    メカニズムアナライズ
    HPが最大値の80%以上の敵を攻撃時、4秒間その攻撃対象にパッセンジャーの与ダメージ+25%
    3
    • HP +60
    • 攻撃力 +100
    メカニズムアナライズ
    HPが最大値の70%以上の敵を攻撃時、4秒間その攻撃対象にパッセンジャーの与ダメージ+28%
    沁礁闇市は、私が生まれ変わった場所です。
    ――西の通路の果てにある、空の青が見える空き地。あの場所はかつて、ある武器商人の縄張りでした。
    かの地を訪れてから数年間、私はさる天性の暴君の下で働いていました。
    あの男の鞭は私の背に傷痕を残しましたが、私は彼を恨みはしませんでした。
    なぜならそれは、酒に酔った彼が、憤る部下に喉を搔き切られ、崖から突き落とされたことと同じく、至極当然のことでしたから。
    私は一枚目の金貨を、あの裏切り者たちの手の平に置きました。
    金貨がほんのりと温かかったことを、この指先が覚えています。

    ――沁礁の北方、外縁部にあるオアシス。そこは、傭兵たちが長らく根城にしていた場所です。
    兵士たちは日々目まぐるしく入れ替わりましたが、その主が変わることはありませんでした。
    彼は私にとって最大の顧客であり、酒の飲み方を教わった人でもあります。
    ですがあの冬の日、彼は死にました。
    私の所有する倉庫の前で、身体に無数の穴を作り、なんとも無残に息絶えたのです。
    彼は、私の作り出した物に目が眩み、私の防衛策によってあえなく命を落としました。
    しかし……傭兵に忠誠心などはありません。
    ですから私は彼の葬儀で傭兵たちに褒美をやりました。
    悲しいことに、彼の命に付けられた値段は、まともな酒の一本すら買えないものでした。

    ――沁礁の南のとある町。トランスポーターと商人たちがひっきりなしに出入りするそこでは、値札と金が飛び交っていました。
    恐らく、あの領主も町の持つ価値をはっきりと理解していたことでしょう。
    そしてそれは、イバトの首長がかの地を特別視していた所以でもありました。
    私はサルゴンの混沌を極める野蛮な政治には興味を持てませんが、権力者たる領主の後ろ盾は必要でした。
    沁礁闇市の勢力図についてなどは、あまりにも退屈で話す気にもなれませんけれど、領主のこととなれば、我々の間では話題に事欠かなかったものです。
    とはいえ、あのように脆い関係性が長く続いていたことには、正直なところ私も驚きました。
    あの領主も案外見かけによらなかった……ということでしょうか?
    ともあれ、ある種の尊敬の念から私はかの反乱には参加せず、領主の一族が傀儡に成り下がったあと、あの哀れな少年のもとを訪ねるだけに留めました。
    その子はエリオットに――そう、私によく似ていたのを覚えています。

    ――沁礁闇市の中心部。そこには……かつてのパーディシャーが眠る、古びた墓があります。
    イシンは毎晩、星空の下で古くなった記憶を磨き上げるように、昔を懐かしんでいたものです。
    ……ずっと昔、私は彼の富を使い果たしてしまったことがありました。
    あとから数倍にしてお返ししましたが、イシンは気にも留めない様子でした。
    日に日に老いてゆく彼は、時折他愛もないことを訊ねてくるものの、それ以外に大した交流はなく……
    あの日イシンは、なぜ人々が私を「サンドソルジャー」と呼ぶのかを訊ねてきました。
    虚無の砂粒を、悲しき兵士を表すその言葉は――まさしく、私の憎しみの象徴です。
    だからこそ私は、人々にそう呼ばれることを喜んで受け入れました。
    程なくして下される法無き審判の代償を、予め支払っておくためにも。
    何しろ沁礁闇市も、ああした数々の町も、すべては燃え上がるのを待つ薪に過ぎないのですから。
    私はイバト首長が彼の地を訪れるのを待ちました。
    できることなら、この砂の海さえ焼き尽くしたいとすら思いました。
    そうして、火を付けた最後の瞬間――
    ――私は、若きエリオット・グラバーが科学博物館の見学へと連れて行かれたとある午後を思い出したのです。
    新型の源石エンジンが火を灯し、巨大な機械を動かす様に、彼は心を打たれました。
    彼はその感動をいつまでも覚えています。……私は、いつまでも覚えています。

基地スキル

  • 電磁充電α
    発電所配置時、ドローンの回復速度+10%
    エネルギー効率化
    発電所配置時、ドローンの回復速度+15%
  • 自動化α
    製造所配置時、自身以外の配属オペレーター全員の製造効率を0にする(施設の数量による製造効率上昇に影響なし)。発電所1か所につき、製造効率+5%