• W

W

狙撃タイプ — 榴弾射手
敵に範囲物理ダメージを与える
  • B214
  • 遠距離
  • 火力
  • 牽制
その他の昇格:
/ 90
【コードネーム】W
【性別】女
【戦闘経験】十一年
【出身地】カズデル
【誕生日】本人は忘れたと主張
【種族】サルカズ
【身長】165cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、感染者に認定。
【物理強度】標準
【戦場機動】標準
【生理的耐性】優秀
【戦術立案】卓越
【戦闘技術】優秀
【アーツ適性】標準
サルカズ傭兵団のリーダー、W。長きに渡りカズデルの内戦に参加していた彼女のチームは、残虐性と効率的な作戦手段で知られていた。チェルノボーグ事変でロドスと交戦、後にとある理由でレユニオンから離反。ケルシーとの交渉を経て、ロドスと戦略協定を結ぶ。
造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

【源石融合率】14%
明らかな感染の形跡がある。診察はまだ不十分である。

【血液中源石密度】0.29u/L
長年に渡るカズデルでの活動及び源石軍用品の多用により、Wの感染状況は芳しくない。しかし本人に感染者としての自覚は全くない。あるいは大部分のサルカズにとって、このような苦痛や差別を伴う状態は、とうに慣れたものなのかもしれない。

知っての通り、Wの性格は相当ひどいものです。ロドスと協力することになってからも、彼女が私たちの検査に協力したことは一度もありません。治療ではなく、検査ですら、ですよ。正直に言いますと、医療オペレーターとしての責任がなければ、好んで彼女の面倒を見る者はいないと思います。それなのにあのサルカズは少しも人の話を聞きません。いつも「無理してあたしの世話をしなくていいわよ」だの「あたしはあんたたちの仲間にも手を出した奴なんだし、自分の気持ちに素直になれば?」だの言って……そんなこと言われなくたってわかっていますよ!でもそれはそれ、これはこれ。誰か今すぐ彼女を連れ戻してきてください!
――某医療部門責任者
かつてカズデルの戦乱の中で、Wはある独立した傭兵部隊に属していた。その部隊は頻繁にラテラーノの商隊を襲撃することで名を轟かせ、メンバーの多くは戦利品として、守護銃を手に入れていた。カズデルの悪名高いブラックマーケット「スカーモール」では、正式な儀式で授けられた守護銃は高値で取引される。Wはロドスに来た際に、複数の守護銃を所持していた。しかしこれらの「コレクション」は艦内一部のラテラーノオペレーターの反感を招くため、登録後に禁制品として取り上げられた。彼女が愛用している武器の中には、改造を施された爆破物ランチャーが一本存在するが、その出処についてはあえて深く追求しないこととされている。
戦乱が収束した後、Wはレユニオンの統率者であるタルラの誘いを受け、レユニオンの手先となった。その後まもなく、一方的にレユニオンとの契約を破棄したWは、ロドスと条約を結び、現在に至っている。カズデル内戦初期及びレユニオン加入時の行動履歴は空白になっているため、彼女の内戦中の立場、レユニオンに加入しまたすぐに裏切った理由、ロドスと協力する目的は判明していない。Wが今でもサルカズ傭兵として振舞っていることと、レユニオンにいた頃の行為から鑑みて、全ての一般オペレーターには極力彼女と距離を保つことを推奨する。各部門においても、この危険な協力者を慎重に扱うべし。
【権限記録】
一般の事務員にWを担当させる?それは気の毒な話だ。彼らは知らなすぎる。まあ昔のよしみだ、私自ら担当しよう。
Wが艦内にほとんど留まらないことを幸運だと思うべきだ。他の人はよく彼女が怖いだの嫌いだの言っているが、そんな簡単に決めつけていいのか?私が言いたいのは、彼女がそれほどに複雑な人間に見えるかということだ。昔の彼女を知っていれば、彼女のような変わり者との付き合い方も多少はわかるはずだ。そもそも、彼女自身にそれなりの手腕がなければ、タルラとサルカズの傭兵を徹底的に分離することなどできなかっただろう。それにもし彼女が本当に何かやらかそうとしていても、ケルシー先生が目を光らせているではないか。
しかし、彼女と距離を保つことは確かに必要だろう。うちのかわいい世間知らずのオペレーターたちにとって、Wは刺激が強すぎるからな。さらに、一部のエリートオペレーターの場合……そうだな、アルコールの影響でWと揉めて艦を半壊、いや、全壊させるかもしれない。そういうことは起きない方がいい。本当に。
最後に一つ覚えておいてもらいたい。ロドスの人事部はそう軽々しく、不安要素を取り込むことはない。これは仕事においての最重要事項だからな。あえて不安要素を取り込んだのは、状況がそれほどやばくなってきているか、もしくは……相手の素性がはっきりしているかだ。Wの場合、その両者に当てはまる。そうだろう?
――■■■
サルカズ傭兵。カズデルの内戦が収束――少なくとも表向きには――する前から、カズデルの荒涼なる大地の上で、最も目にする機会の多い武装集団である。彼らは部隊単位で行動し、ある時は莫大な財力を有する貴族に抱えられ、ある時は自発的に傭兵同盟を結び、生計を立てている。戦乱の地であるカズデルでは、人の死生観も価値観もほかの地域と大きく異なり、傭兵として活動することが主流になっていた。近代戦争史の中で「サルカズ傭兵」を巡る論争は絶えない。特にカズデル外の出資者に雇われているサルカズ傭兵は、精良な装備と小規模戦闘での優れた戦略ゆえに、各方面において安全を脅かす悩みの種になっている。彼らに対処する専門家も現れたが、その詳細はまだ不明である。
現摂政王と王室正統継承者が衝突したカズデルで内戦が勃発した後、各貴族に所属していた傭兵と民間武装集団はしだいに統合されていき、内戦双方のどちら側につくかの判断を余儀なくされた。戦争は残酷だが、一部の学者の考えによると、この内戦は貧困で混乱極まるカズデルに、権力を再配分するチャンスを与えたと言える。古い貴族たちは、カズデルから追放された王室正統継承者を支持し続けた。彼らは莫大な経済力で数多くの傭兵を統合し、まとまりがなかった兵たちを王の御旗の元に集わせた。このことは、傭兵が内戦で重要な役割を担うきっかけになったと言われている。その後、摂政王側も同じ方針を取ったため、傭兵の大部分は私兵となった。これは歴史の中から多くの「傭兵」がいなくなったことを意味している。しかし、数こそ少ないが、この不毛な戦争に加担することを望まない傭兵も存在していた。彼らは傭兵、あるいはサルカズは自由であるべきだと主張し、独立した組織として、摂政と王政の間で揺れ動いている。彼らの事跡は伝説的な物語として仕上げられ、カズデルの平民層の間で広く伝えられている。
――『闘争と自由』第二章「カズデルと近代傭兵史」より。意外なことにこの本はWの私物で、作者名は略称で「H.」とだけ書かれている。また、「サルカズは自由であるべきである」という部分は赤ペンで印を付けられている。
Wと彼女の部隊は、ロドス内部でも独立性を保っている。彼らはサルカズ傭兵の特殊性ゆえ、ほとんど本艦に滞在しないが、やって来ると決まって騒動を起こす。
Wの性格の悪さは知っての通り。彼女にとってケルシーとドクター以外は眼中にない。前回任務報告のために本艦に立ち寄ったWは、危うく二人のエリートオペレーターとやり合うところであった……起因はもちろんWの挑発である。意図的に挑発したわけではなかったのだが、あの態度だけでも戦争を起こしかねない。彼女は犠牲者たちを少しも尊重しない――中には彼女のせいで命を落とした者もいたというのに!血も涙もない奴め!
それと、アーミヤだ。
アーミヤはWについてあまり知らないようだ。Wもアーミヤに対して思い入れがあるように見えない。しかしWはアーミヤの言葉に従うのだ。おかしくないか?彼女は愚痴を言ったり、命令を無視して自分の判断で動いたりするが、報告を聞く限り、アーミヤが言いつけたことは全てこなしている。まるでアーミヤに何かを期待しているようにも見えるが……それがいいことであるとは思えない。
それともう一つ、思い過ごしかもしれないし、上も監視を続ける必要はないと言っているが――
Wはよく一部の空き部屋の前に立ち、その……ぼーっとしているというか。時々雑務をしているアーミヤを見つめていることもある。そう、ただ見つめているだけだ。
そういう時の彼女は一体何を考えているのだろう?危険なことである可能性は十分に高いので、我々は気をつけなければならない。
なぜなら、そんな時の彼女は……全く笑っていないのだから。
【権限記録】
ドクター、気づいているとは思いますが、Wはロドスと……あなたの過去とも繋がりがあります。
エンカクのようなサルカズまでロドスに現れた時点で、こんな日が来るとは思っていました。思えば不思議なもので、カズデルからウルサス、龍門へと歩みを進め、そしてこれからも共に前に進んでいくのに、最後には結局、最初に出会った人々や出来事、そして彼らが残した影響と再び向き合うことになります。避けられないこともあるということを、改めて思い知らされました。ああ、ケルシー女史とアーミヤには話しました。クロージャもおやつで釣って話しましたが、見解はそれぞれです。
私は■■■に、ドクターに取り次ぐようお願いしました。あなたは私を覚えていないかもしれませんが、私にはあなたと話す必要があるんです。そういうわけですので、私のことはこのまま、ただのサルカズのボイラーマンとして扱っていただければと。
お話ししたいのはWのことです。Wとは古い付き合いです。殿下がまだご存命の頃……Wから殿下の話をお聞きになったことはありますか?本来であれば、この話は私たち「古株」の間ではタブーになっています。あなたに秘密していたわけではありません。単に、私たちがその過去に向き合いたくないだけです。ケルシー女史なら全てを知っているに違いありませんが。え?ああ、ご心配いりません、私はケルシー女史の許可を得てあなたのところに訪ねてきましたので。
話を戻しましょう。Wは昔から殿下に付き纏うような子で、殿下の言うことだけは聞いていました。当時一緒に働いていたサルカズの中でも、彼女を知っている者は多くありません。その頃のアーミヤ?Wはアーミヤとあまり接点がなかったはずです。傭兵として入ってきましたし、いつもヘラヘラしていて、不遜な態度をとって、仕事する際には手段を選びませんでしたからね。私はその時もただのボイラーマンでしたよ。戦場に出ることは一度もなか――はい?ええそうです、この体格は仕事の中で鍛えてきました……腕相撲であのエリートさんに勝ったのもただの偶然で……本当に戦場に出たことはありません。戦士たちの目から見て、Wがどんなに極端で異質な、いわゆる不安要素であるか、私は知りません。彼女が戦場にいる姿を見たことがありませんから。私が見たのは、任務から戻った後、遠巻きに殿下の後ろについて歩き、話をかける勇気を出せないでいる彼女だけです。私の目には、彼女はただ殿下を慕っているように見えました。彼女はそこにいた全てのサルカズと同じ、殿下の理想と、殿下が照らす光を求めているだけだったのです。
Wは変わりました。ロドスでは、Wを知っている人は少なくありません。ですが、Wが知っている人はもうほとんどいません。彼女はあまりにも深く長く、自らを偽っていましたから。かつて彼女には仲間がいました。そうです、あんな性格でも、彼女は仲間を必要としていたんです。短い期間でしたが、私たちと共に戦ったこともあるんですよ。あの人たちがまだ彼女のそばにいれば、彼女の助けになれたかもしれませんね。今では、彼女を助けられる人はもういません。そうです、私も、ケルシー女史も、ドクター、あなたも。あるいは、そもそも彼女を助けたいという人は一人もいないかもしれません。納得はできますが、これは当たり前のことであってはなりません。
Wが望むものは何か、何をしたいか、私たちは皆知っています。彼女にとって、ロドスがただの幻影になるか、それとも過去を乗せた新たな未来になるかはとても重要なことなのです。それはあの過去を覚えている全ての者にとっても重要でしょう。アーミヤやケルシー女史も例外ではありません。今後Wがロドスやケルシー女史、アーミヤ、そしてドクター、あなた方との関係にどう向き合うかにも関わってくるでしょうから。
どうして、ですか?そうですね、あなたにこのような話をする理由は単純です。あなたは過去の記憶を失っています。にもかかわらず、過去のあなたを知る人が次々とやって来る。あなたを信頼する者もいれば、しない者もいて、ドクターも混乱しているでしょうから……まあ、ただのボイラーマンがロドスのドクターの心配をするなど、出しゃばりすぎかもしれませんが。
ケルシー女史とアーミヤはあなたの身の回りの世話をよくしていますし、ロドスの運営もうまくいっています。その中で、Wは……特殊過ぎました。あなたと彼女がどちらも、お互いに冷静を保ち、焦らず接していってほしいものです。
本来であれば、このような話はアーミヤ、もしくはケルシー女史からあなたに伝えるべきですよね。そうでなくでも、■■■自ら伝えるべきですが、みんなが私のわがままを許してくださいました。本当に恐縮です。私はどこにでもいる普通のサルカズで、疾風怒濤のアーツを操ることも、巨大な剣や斧を振るうこともできません。無理に真似をしたら自分を傷つけかねません。私にできるのはただ自分の仕事をこなしながら、ロドスが無事にこの大地の上を進むことを祈るだけです。
え?私にも聞きたいことが?テレジア……?その名前は……どこからお聞きになったのですか?
テレジア……か。
あなたが本当の意味で過去と向き合う日は、そう遠くはないかもしれませんね。
「あんたやっぱり……」
「死だって敵を騙す手段の一つよ。あそこから抜け出してあなたに会うってのもあの人の考え。ただそれだけ。」
「ならあたしたちはいつヴィクトリアに行けるの?あの簒奪者を待たせすぎるのも悪いでしょ。」
「ヴィクトリアの状況はあなたが想像しているよりずっと複雑よ。しかも私たちが知っているのはテレシス側のことだけ、そうでしょ?」
「それじゃあ足りないの?」
「あなたにとっては十分かもしれないけど、ロドスにとってはまだまだ足りないわ。全員あなたの道連れにするつもり?」
「はいはいわかったわよ……あんたもうずうずしてるみたいだしてっきり……ああそうか、あんたはただあの人を助ける算段をしているだけだったわね?」
「大人しく待ってなさい。まだその時じゃないわ。」
「ふうん……それはつまり?」
「……」
「まあわからないでもないけど。ロドスにいるだけでもロンディニウムの状況は耳に入ってくるし、ケルシーが対策を講じていないわけないわね。」
「あなたも色々調査をしてるのね、その通りよ。そういえばあの『ドクター』とは仲良くやってるみたいじゃない。」
「気になる?」
「別に。もし機会があれば、私はドクターじゃなくてアスカロンと話をしたいわ。」
「あんた、ロドスに行くつもり?」
「そうよ。あなたがこれからどうするか、期待してるわ。ヴィクトリア以外の場所で死なないでね。まだやることが山ほど残ってるんだから。」
「大丈夫よ。いずれあたしたちが全部片付けるから。」
「フンッ……じゃあいいけど。その日が来るのを待ってるわ。」
HP
1605
攻撃力
1012
防御力
133
術耐性
0
配置コスト
29
攻撃間隔
2.8 秒
ブロック数
1
再配置時間
70 秒

素質

  • 潜伏
    配置から10秒後、物理回避と術回避+60%、敵に狙われにくくなる
  • 悪巧み
    攻撃範囲内のスタン状態の敵が受ける物理ダメージ+18%

スキル

設定で詳細一覧を有効にして、詳細データが表示されます。
  • ハートのK
    自動回復手動発動
    必要SP
    16
    榴弾を発射し、爆破範囲内の敵全員に攻撃力の350%の物理ダメージを与え、3秒間スタンさせる
    atk_scale
    3.5
    stun
    3
  • びっくり箱
    自動回復自動発動
    必要SP
    8
    次の通常攻撃時、攻撃範囲内の配置可能マスに存続時間120秒の地雷を設置。敵が地雷の付近にいる時、地雷が爆発し、周囲一定範囲内の敵全員に攻撃力の280%の物理ダメージを与え、2.2秒間スタンさせる
    atk_scale
    2.8
    stun
    2.2

    サプライズ!

    HP
    1000
    攻撃力
    100
    防御力
    0
    術耐性
    0
    配置コスト
    0
    攻撃間隔
    1 秒
    ブロック数
    0
    再配置時間
    0 秒
    バッドラックXD
    自動発動
    付近に敵がいる時爆発し、爆発後周囲一定範囲内の敵全員に物理ダメージを与え、スタンさせる
    atk_scale
    2.8
    stun
    2.2
  • D12
    自動回復手動発動
    初期SP
    20
    必要SP
    33
    攻撃範囲内のHPが最も高い敵4体に爆弾を付着する。爆弾は一定時間後爆発し、周囲一定範囲内の敵全員に攻撃力の310%の物理ダメージを与え、5秒間スタンさせる
    max_target
    4
    atk_scale
    3.1
    stun
    5

モジュール

  • ORIGINAL
    Wの記章
    Wは複数の敵に対する遠距離物理攻撃に秀でている。
    外勤部門の決定に基づき
    外勤任務においては狙撃オペレーターとして区分し、榴弾射手の責務を担う。
    特別に本記章を授与し、
    その証明とする。
  • ART-X
    傭兵の鞄
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +130
    • 攻撃力 +54
    榴弾射手の特性
    敵に範囲物理ダメージを与える
    ブロックされている敵を攻撃時、攻撃力が110%まで上昇
    2
    • HP +180
    • 攻撃力 +68
    悪巧み
    攻撃範囲内のスタン状態の敵が受ける物理ダメージ+21%、敵を倒す度SP+1
    3
    • HP +210
    • 攻撃力 +78
    悪巧み
    攻撃範囲内のスタン状態の敵が受ける物理ダメージ+24%、敵を倒す度SP+1
    傭兵の鞄のとあるポケットには、普段あまり使わないものが収納されている。
    この地においては、当てもなくさすらう幼い子供を見かけることがしばしばある。
    生きようと足掻く命など、ここでは珍しくもない存在なのだ。
    ある時、一人の少女が怪物の群れにこう頼んだ。
    「お願い、助けて!」
    「あたしはいろいろできるから、きっと役に立つと思うよ。」
    怪物たちは荒野を放浪する彼女を憐み、受け入れ、寝床を与えてくれた。
    「優しくしてくれてありがとう!」
    彼女は、自分の小さな鞄を抱きしめながらそう言った。
    「あたし、狩りができるの。」
    「だから、食べ物をたくさん持ってこられるよ。」
    次第に、空が暗くなり始めた。
    夜が訪れれば、安全は遠ざかるものだ。
    少女は寝床の中に縮こまって、外に広がる夜を眺めていた。

    そうしていると、毛を伸ばした怪物の首領が彼女に言った。
    「食い物が足りん。」
    「お前、狩りができるんだったな? それなら行ってこい。」
    「たっぷり獲物を持ち帰ってくるんだ。」
    少女は一人、暗闇の中を歩き出した。
    しかし、生き物という生き物すべてが夜のとばりに隠れていて、何一つ捕まえられはしなかった。
    そんな時、彼女は遠くに焚火を見つけた。
    焚火のそばには、数日分はありそうな食料と、うなだれた傭兵がいた。
    「あれを持っていこう。」
    少女はそう考えた。
    そして、やっとの思いで小さな袋を手に入れた。
    そこには、彼女が長いことありつけもしなかった、まともな食べ物が入っていた。
    こうして盗み、奪ったものでも構わない。
    何か食べ物を手に入れなければ、怪物たちに認めてはもらえないのだ。
    あそこにずっといるために、これを持ち帰らなければ。
    少女が袋を抱きしめて逃げ出すと、傭兵がその後ろから追いかけてきた。

    少女はそのまま、怪物のアジトへと逃げ込んだ。
    怪物たちが、傭兵に向かって鋭い爪を伸ばしたのが見えた。
    しかし、想像したような悲鳴は上がらなかった。
    傭兵は大声で何かを言ったようだった。
    焚火の向こうから、少女は身を乗り出した。
    すると、傭兵が怪物たちを率いて再び闇の中へと向かい、しばらくして、皆で戻ってきた。
    怪物たちは嬉しげで、祝うように声を弾ませながら、車両数台分の物資を運んできた。
    そうするうち、時間と共に夜はさらに深くなっていた。
    そろそろ休まなければならない。
    少女は、その光景に安心して横になった。
    傭兵が見張りを引き受けて、祝いの宴を楽しんでいた怪物たちも、焚火のそばで眠りについた。
    少女は傭兵を眺め、傭兵も彼女を見つめていた。
    しばらく視線を交わしたあと、少女は寝返りを打って目を瞑った。
    怪物たちはすでに、ぐっすりと眠っているようだった。
    傭兵は、焚火に何本かの薪をくべ、勢いを強くすると、その明かりでアジトの中を見回した。

    焚火のそばでする音が、穏やかな呼吸だけになった頃、少女は目を開いた。
    そしてその音がすべて消えた時、少女は寝床から身を乗り出した。
    「よくやってくれた。」
    傭兵は剣を握っていた。
    その刃には、どろりとした赤い液体が付いていた。
    少女は辺りを見回して、アジトの全貌を目の当たりにした。
    ほかよりも汚れがマシな場所を見つけると、彼女はそこに腰掛けた。
    傭兵は物資を彼らの野営地へと運ぼうとしていた。
    少女は一人、月を眺めた。
    「……裏切り者め!」
    生き残りの怪物が、隅から飛び出してきた。
    それは呼吸を荒くして、訳のわからないことを言いながら、少女と取っ組み合いをした。
    「このままじゃ、あたしが殺されちゃう。」
    彼女は懸命に抗った。
    「死にたくない。」
    その時、少女の鞄に小さな綻びができた。
    ナイフが鞄を切り裂いて、彼女の手をも傷つけながら飛び出したのだ。
    少女はそのナイフを咄嗟に握り、闇へと刺し込んだ。
    怪物がやがて武器を取り落とし、どろりとした赤い液体が地面に流れ落ちるまで。
    ただ、生き残るために。
    傭兵の鞄のとあるポケットには、一本のナイフが入っている。
    それは、彼女が傭兵になる前に入れたものだった。
  • ART-Y
    鈍い刃
    STAGEステータス強化説明
    1
    • HP +160
    • 攻撃力 +45
    榴弾射手の特性
    敵に範囲物理ダメージを与える
    攻撃時、敵の防御力を100無視
    2
    • HP +180
    • 攻撃力 +65
    潜伏
    配置から10秒後、物理回避と術回避+60%、敵に狙われにくくなる。ダメージを受けていない場合、20秒間攻撃力が徐々に上昇し(最大110%まで)、ダメージを受けると攻撃力はリセットされる
    3
    • HP +200
    • 攻撃力 +85
    潜伏
    配置から8秒後、物理回避と術回避+60%、敵に狙われにくくなる。ダメージを受けていない場合、16秒間攻撃力が徐々に上昇し(最大120%まで)、ダメージを受けると攻撃力はリセットされる
    星空の下に広がる荒野を、飢えた奴隷がよろよろと歩いている。やがて奴隷は、遠くの焚き火のそばに無言で佇む傭兵の姿を見止めた。
    奴隷は緊張した様子で地に伏せると、両手で自身の持つ唯一の武器を差し出した。
    「私は荒野の上を止まることなく走り続ける巨大な船を探しています。その主が、我々を保護してくれると聞き及んだのです。」
    「あんた誰?」傭兵は奴隷に見向きもしなかった。
    「私はスカーモールから逃げ出した奴隷です。誤って衛兵を傷つけてしまいました。もう戻ることはできませんが、それでも生き延びたいのです。」
    傭兵は焚き火を見つめながら少しの間黙り込み、それからこう告げた。
    「その巨大な船が明日通るルートを知ってるから、夜が明けたら連れていってやってもいいわ。」
    奴隷は感激して傭兵に感謝の意を伝えると、武器を下ろし、そのまま横になって眠ろうとした。

    星空の下に広がる荒野を、隻腕の衛兵がよろよろと歩いている。やがて衛兵は、遠くの焚き火のそばに無言で佇む傭兵の姿を見止めた。
    衛兵は緊張した様子でじっと立ちすくんだ。その手には自分を守るための武器は握られていない。
    「私は荒野の上を止まることなく走り続ける巨大な船を探しています。その主が、我々を保護してくれると聞き及んだのです。」
    「あんた誰?」傭兵は衛兵に見向きもしなかった。
    「私はスカーモールから逃げ出した衛兵です。奴隷を憐れんで逃がしてしまいました。もう戻ることはできませんが、それでも新たな主に力を捧げたいと思っております。」
    傭兵は焚き火を見つめながら少しの間黙り込み、それからこう告げた。
    「その巨大な船が明日通るルートを知ってるから、夜が明けたら連れていってやってもいいわ。」
    衛兵は感激して傭兵に感謝の意を伝えると、半ばで断ちきられた腕を庇いながら、そのまま横になって眠ろうとした。

    「でも、連れて行けるのは一人だけよ。」
    立ち上がった傭兵の、焚き火に照らされたその顔には、ありありとした嫌悪が滲んでいた。
    焚き火の明かり越しに、奴隷と衛兵の視線が交差した。
    「朝になったら、また戻ってくるわ。」そう言い残すと傭兵は焚き火を離れ、星空の下に広がる荒野に姿を消した。
    荒野に最初の日の光が差し込む頃、傭兵は火の消えた焚き火のそばに戻ってきた。
    しかしそこには奴隷も衛兵もおらず、一本の武器だけが残されていた。
    傭兵がその武器を手に巨大な船へと戻ると、門番を任されていたゴリアテ人はその二人の結末に興味を示した。
    「どうでもいいわ。だってあいつらには、そもそも殿下のために働く資格がないもの。」
    「資格があるかなんてどうやって判断したんだ?」大男はからかうように問いかけた。
    「私が好き勝手すると彼女はいつも咎めるけど、私を追い出そうとしたことなんて一度もないのよ。」傭兵は笑って答えた。
    「基準なんて、あたし自身に決まってるでしょ。」

基地スキル

  • 狙撃エキスパートα
    訓練室で協力者として配置時、狙撃の訓練速度+30%
    最後の仕上げ
    訓練室で協力者として配置時、狙撃の訓練速度+30%。特化ランク3への訓練をサポートする場合、訓練速度がさらに+65%
  • 飽きっぽい
    訓練室で狙撃の特化ランク3への訓練の協力者として配置時、体力消費が1時間ごと+1